オリンピック映画の原点、ここにあり 『東京オリンピック』
- 『東京オリンピック<4K リマスターBlu-ray>』
- 市川崑
- 東宝
- >> Amazon.co.jp
- >> HMV&BOOKS
オリンピックイヤーということで、原典ともいえる一本を紹介してみましょう。1965年の公開後、2001年まで36年間にわたり国内の歴代観客動員数1位に輝き続けた映画。それが市川崑監督の『東京オリンピック』なのです。
公式記録を見てみると、その凄まじさに驚かされます。指揮にあたった市川崑監督はもちろん、シナリオは市川総監督に加え、和田夏十、谷川俊太郎、白坂依志夫が担当。奇跡的な映像の数々を撮影したのは164人のカメラマンたち。103台のカメラ、232本のレンズ、録音済テープは240時間にも及んだとか。
「大会が始まってからは、朝、撮影現場に行く大勢のスタッフに、カメラ、フィルム、弁当を渡して「いいカットを撮って来てくれ」と送りだすわけです」(市川崑の公式コメントより)
実際に見てみると、限りなく演出が少ないことがよくわかります。実況シーンもほとんどなし、観客の声も時によってはカット。選手の息遣いや、緊張で高鳴る心臓の音までも聞こえてきそうになり、想像以上に目が釘付けになってしまいます。それはまさに「スポーツ・ファンだけのための映画じゃない」という、監督が掲げたコンセプトの通り。老若男女だれでも、そしていつの時代にも魅了される。そんなオリンピック映画。そしてスポーツドキュメンタリーだと感じました。
タイトルは知っているものの、未見のひとは多いはず。是非おためしを。
(文/峰典子)