"鬱映画"でも高評価!メキシコ発スリラー『ニューオーダー』
- 『ニューオーダー(字幕版)』
- ナイアン・ゴンザレス・ノルビンド,ディエゴ・ボネータ,モニカ・デル・カルメン,エリヒオ・メレンデス,ミシェル・フランコ
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観た後に気分が落ちたり、救いようがないエンディングだったりする"鬱(うつ)映画"、実は高評価の作品が多いことをご存知でしょうか。今回ご紹介するのは、カンヌなどで賞を獲得してきたミシェル・フランコが手がけるメキシコのディストピアスリラー『ニューオーダー』。2020年のベネチア国際映画祭で銀獅子賞を受賞したことでも話題になった本作、酷すぎて「直視できない」「本当に起こりそうで怖い」という声もネット上で見受けられ、筆者もかなり気分が落ちたので、鑑賞には覚悟が必要な一本でした。
メキシコシティでは、裕福な娘のマリアンの待ち望んでいた結婚式が行われようとしています。会場となった彼女の豪邸には政治家や財界人が主席しており、なんとも華やかなパーティが行われていました。そんな中、緑のペンキのようなものを投げつけられた1人の招待客がやってきます。外を見ると、車は緑のペンキだらけ。この日、会場の近くでは貧富の差に対するデモが行われており、暴徒と化した人たちがなんとマリアンの豪邸にまでやってきます。マリアンは襲撃された際、運よく使用人の1人と車で外出しており、その場にいなかったのですが、彼女はその後、悪夢に直面することに。
"富裕層を容赦無く攻めた貧困層による復讐劇"でもある本作は、将来、貧富の差がもっと深刻に広がっていくと、こうなりかねないといった警鐘も鳴らしているようにも思えました。性暴力や、容赦ない殺人のシーンが映し出される本作の残酷さは吐き気がするほど。しかしこの作品から一回も目を離すことができなかったのは、妙に現実味が溢れていたから。また一切音楽を使っていない演出も、本作の惨さみたいなものを引き立てていました。果たしてマリアンはどうなってしまうのか、彼女の行く末にも注目して鑑賞してみてください。
(文/トキエス)