もやもやレビュー

『さかなのこ』を見て、"好き"のもたらすパワーを考えた。

さかなのこ
『さかなのこ』
のん,柳楽優弥,夏帆,磯村勇斗,岡山天音,西村瑞季,宇野祥平,前原滉,島崎遥香,鈴木拓,賀屋壮也(かが屋),朝倉あき,長谷川忍(シソンヌ),豊原功補,さかなクン,三宅弘城,井川遥,バンダイナムコフィルムワークス,東京テアトル,アナン・インターナショナル,日活,太洋産業貿易,KDDI,DOKUSO 映画館,毎日新聞社,沖田修一,濵田健二,赤須恵祐,西ヶ谷寿一,西宮由貴,西川朝子,日野千尋,前田司郎
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 本作は、さかなクン初の自伝的エッセイを原作とし、『南極料理人』『横道世之介』で知られる沖田修一監督が映画化しました。

 お魚が大好きなミー坊は、寝ても覚めてもお魚のことばかり。他の子供と少し違うことを心配する父親(三宅弘城)とは対照的に、信じて応援し続ける母親(井川遥)に背中を押されながらミー坊はのびのびと大きくなっていきます。

 高校生になってもミー坊(のん)のお魚好きは変わりませんでしたが、その後の就職先に水族館や寿司屋など魚に触れ合える場所を選ぶも、まったく上手くいきませんでした。

 しかし、ミー坊は人とのご縁に恵まれました。なかなか思うようにいかずヤケ酒をし、酔った勢いで商店街のお店のシャッターに描いたシシャモの絵をたまたま見た相手が、高校時代の友人でヤンキーの元総長(磯村勇斗)で。同じく高校時代に知り合い、ミー坊の影響から寿司職人になった籾山(岡山天音)と総長は今も付き合いがあり、総長の計らいで、籾山とミー坊も再会します。そこでミー坊は籾山から、寿司屋を本格的にオープンさせる店のイラストを依頼されます。
 そのイラストが評判となり、寿司屋も繁盛し、ミー坊もお魚のイラストレーターとして活躍するようになります。

 また、小学生時代からの友人ヒヨ(柳楽優弥)もテレビディレクターとなり、ミー坊に出演を依頼し、ミー坊はタレントとしても知られるようになります。

 好きなものに出会えたこと、それを応援してくれる家族や友達、また、良いご縁を引き寄せる運など色んな奇跡が合わさって、ミー坊は夢を叶えることができます。
 好きなものに我を忘れるほどに夢中な人はやっぱり魅力的だし、その人の"好き"な気持ちってすごい力を持ってるんですよね。時に人をも動かしたり、運命をも変えることができたり。
 一生懸命生きる日々のなかで、ついつい苦手意識に目が向けられることは多々ありますが、小さなことでも"好き"な気持ちを大事にしたいと思いました。

(文/森山梓)

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