もやもやレビュー

『月刊予告編妄想かわら版』2023年05月号

『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』 (5月26日公開)より

毎月下旬頃に、翌月公開の映画を各週一本ずつ選んで、その予告編を見てラストシーンやオチを妄想していく『月刊予告編妄想かわら版』二十一回目です。
果たして妄想は当たるのか当たらないのか、それを確かめてもらうのもいいですし、予告編を見て気になったら作品があれば、映画館で観てもらえたらうれしいです。
05月公開の映画からは、この四作品を選びました。

***

『EO イーオー』(05月05日公開)
公式サイト:https://eo-movie.com/
予告編:https://youtu.be/ZzkY28odOCs

EO●メイン.jpg イエジー・スコリモフスキ監督の7年ぶりの新作『EO イーオー』。1966年公開のロベール・ブレッソン監督『バルタザールどこへ行く』にインスパイアされたという今作は「EO」というロバが主人公です。
「鬼才スコリモフスキによる現代の寓話にして無比の映像体験」と予告編にあるように、一頭のロバの視線から出会う人々を描き、動物から見えた人間のおかしさと愚かさを知ることができる作品のようです。また、予告編の中には列車に乗せられた「EO」が外を走っている何頭かの馬が走っているのを見ているシーンや地下道を一頭で進んでいく「EO」の姿や橋を渡ろうとしている美しいシーンなども見ることができます。
 ここからは妄想です。予告編の冒頭で「EO」の誕生日をお祝いしてくれている女性のカサンドラがいます。彼女はサーカス団の一員で「EO」もそこにいたようです。何らかの意図で連れ出されてしまった「EO」は人間たちの思惑によって、いろんな場所に連れて行かれてしまうことで旅をするようになります。
 もちろん、ラストシーンは「EO」がカサンドラと再会する場面のはずです。しかし、「EO」は様々な人間たちを見てきたことでカサンドラに向ける視線も以前とは違うのですが、そのことに彼女は気づけないという終わり方ではないでしょうか?

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『EO イーオー』
5月5日(金・祝)よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町他にてロードショー
配給:ファインフィルムズ
© 2022 Skopia Film, Alien Films, Warmia-Masuria Film Fund/Centre for Education and Cultural Initiatives in Olsztyn, Podkarpackie Regional Film Fund, Strefa Kultury Wrocław, Polwell, Moderator Inwestycje, Veilo ALL RIGHTS RESERVED

『TAR/ター』(05月12日公開)
公式サイト:https://gaga.ne.jp/TAR/
予告編:https://youtu.be/vKIy90fSzqA

main.jpg トッド・フィールド監督によるアカデミー賞6部門にノミネートされた新作『TAR/ター』。ベルリン・フィル初の首席女性指揮者のリディア・ター(ケイト・ブランシェット)が楽団員たちに、「完璧な演奏をしたいなら私に従いなさい」と冷酷に伝えている場面があります。
「嫌な音が聞こえるの」「陰謀よ、私を妬んでいるだけ」と話すターの姿や、彼女のパートナーらしき女性が「不安なの、あなたは高みを求めすぎる」と伝えているシーンなども予告編にあります。楽団員とうまくいっていないような場面もあり、ターは傲慢でありながら孤高の存在であるのが伝わってきます。
 ここからは妄想です。予告編の最後のほうでは顔面蒼白に見えるターが演奏している楽団員たちの間を歩いているシーンがあります。また、タクトを振っている彼女から予告編も始まるので、ラストシーンはやはり彼女がオーケストラを指揮しているところではないでしょうか?
 ターにとっての「完璧な演奏」とは楽団員たちが持つ演奏力を最大限に発揮し、自分の指揮で完全にコントロールするだとしたら、それはターが「神」になることを意味するかもしれません。ラストは演奏を終えた後のスタンディングオベーションの中でターが絶命し、崩れ落ちることでピリオドを打つ、というシーンではないでしょうか?

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『TAR/ター』
5月12日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷他全国ロードショー
配給:ギャガ
© 2022 FOCUS FEATURES LLC.

『宇宙人のあいつ』(05月19日公開)
公式サイト:https://happinet-phantom.com/uchujin/
予告編:https://youtu.be/VENH1Qtk3Ug

メイン-.jpg 中村倫也主演×飯塚健監督による異色のエイリアンコメディ『宇宙人のあいつ』。家族になりすまして23年、真田家の四兄妹の次男・日出男(中村倫也)は地球観測隊の一員として土星からやってきた宇宙人だった。長男の夢二(日村勇紀)と長女の想乃(伊藤沙莉)と三男の諮詩文(柄本時生)に自分が宇宙人であると説明するが、彼らは「頭に入ってこない」と受け入れられない様子なども予告編で見ることができます。
 日出男が地球を離れる日まであと3日、夢二が「地球で残りの時間したいことをリストにしろ」と伝えているシーンもあり、その三日間を描く物語のようです。
 ここからは妄想です。夢二が「お前が来なかったらな、こんなに楽しくなかったよ!」と話して、日出男が涙ぐんでいるシーンも予告編にあります。ラストは日出男が宇宙に帰っていくシーンだと思うのですが、コメディなのでもう一捻りありそうな気がします。
 一つは土星に帰った日出男が他の三兄妹の遺伝子を使って新しい四兄妹になって暮らしているor引き連れて地球に戻ってくるというもの。もう一つは四人兄妹全員の記憶がすべて書き換えられていて、四人がそもそも土星からの観測隊メンバーだったため、四兄妹で土星に帰還するというもの。後者が有り得そうな気がします!

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『宇宙人のあいつ』
5月19日(金)より全国ロードショー
配給:ハピネットファントム・スタジオ
©映画「宇宙人のあいつ」製作委員会

『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』(05月26日公開)
公式サイト:http://kishiberohan-movie.asmik-ace.co.jp/
予告編:https://youtu.be/lvFlKVkbsuI

main.jpg 荒木飛呂彦原作×高橋一生主演映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』。ドラマ『岸辺露伴は動かない』が大きな反響を呼び、ルーヴル美術館を舞台に展開される物語を映画化した今作。
「この世で最も黒い絵って知っている? 最も邪悪な」「それってどこにあるの?」「ルーヴルに」という会話が黒服の女(木村佳乃)と若き岸辺露伴(長尾謙杜)の間で交わされ、現在の露伴(高橋一生)の前にはルーヴル美術館が、というシーンが予告編にあります。
 露伴はフランスに「黒い絵」を探しにやってきており、職員のエマ(美波)は「Z13は地下倉庫の番号です」と答えているシーンもあります。また、「けっして見てはいけないし、触ってもいけない」と黒服の女が言っている過去の場面も印象的です。
 ここからは妄想です。露伴には「ヘブンズ・ドアー」という人の心や記憶を本にして読む得な能力があるので、今回もその力を使うことで「黒い絵」の秘密と起きた殺人事件を暴くはずです。
 ルーヴルで露伴とやりとりをしている辰巳(安藤政信)がやはり真相を知っている犯人ではないでしょうか。私は10代の頃から安藤政信さんの大ファンなのですが、安藤さんは映画に出るとその役柄の死亡確率が高いので、今回は死なないでラスボス的に最後に露伴と対峙してほしいです(個人的な希望)!

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『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』
5月26日(金)ロードショー
配給:アスミック・エース
© 2023「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」製作委員会 © LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社


文/碇本学

1982年生まれ。物書き&Webサイト編集スタッフ。

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