"血のシーン"が全くないのに最恐『ローズマリーの赤ちゃん』
- 『ローズマリーの赤ちゃん リストア版 [Blu-ray]』
- ミア・ファロー,ジョン・カサヴェテス,ルース・ゴードン,シドニー・ブラックマー,モーリス・エバンス,ラルフ・ベラミー,ロマン・ポランスキー
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1968年に公開され話題を呼んだ『ローズマリーの赤ちゃん』。ホラー映画といえば、血がつきものだというイメージがありますが、本作は全く血が出てくるシーンがないのに、史上最も恐ろしいホラー映画の一つとして高く評価されています。それは、不安な気持ちを掻き立てる演出、ダークイメージ、社会的な疎外感などをうまく描いていることが理由にあると思います。
舞台はニューヨークのセントラルパークウエスト。子作りに励む若い夫婦ローズマリーとガイは、豪華なアパートに引っ越してきます。隣人はお節介なカスタベット夫妻で、夜には奇妙な音が聞こえてきます。ある日、カスタベット夫妻の養女が突如アパートから飛び降り自殺。その後、ローズマリーとガイはこの夫妻と親密になります。さらに夫妻は、自殺した養女が身につけていたペンダントをローズマリーにプレゼント。その後、ローズマリーは子作りをしようとした夜に気分が悪くなり気を失ってしまい、なんと悪魔に犯されてしまうという悪夢を見てしまうのです。朝起きたローズマリーの体には爪の引っ掻き傷が・・・。ガイは「ちゃんと爪を切るよ」と話すものの、どこかその夢が気になっていたローズマリー。妊娠したローズマリーでしたが、カスタベット夫妻から勝手に産婦人科を変えられるなどして、疎外感を持ち始めます。
「自分が悪魔の子を妊娠したのではないか」という不安を持ち、どんどんとやせ細っていくローズマリー。そんな彼女の不安がスクリーンから痛いほど伝わってきます。ちなみに、『ローズマリーの赤ちゃん』の舞台となったのは、ニューヨークにあるダコタハウス。実はこのアパートは、ザ・ビートルズのジョン・レノンも住んでいた場所なのです。ジョンは1980年にマーク・チャップマンに射殺されてしまったことでもこのアパートは有名になりました。このような不吉な出来事から、ダコタハウスは「呪われた場所」として海外の記事でも紹介されることも。いまだにファンの多いこの60年代ホラー。本作を見ると、他の作品に大きな影響を与えたことがわかります。
(文/トキエス)