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人気小説がテーマの密室ミステリー 『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』

9人の翻訳家 囚われたベストセラー [Blu-ray]
『9人の翻訳家 囚われたベストセラー [Blu-ray]』
ランベール・ウィルソン,オルガ・キュリレンコ,リッカルド・スカマルチョ,シセ・バベット・クヌッセン,エドゥアルド・ノリエガ,アレックス・ロウザー,アンナ・マリア・シュトルム,フレデリック・チョー,マリア・レイテ,マノリス・マヴロマタキス,レジス・ロワンサル
ギャガ
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もう20年近く前のことになるが、一世を風靡し映画化もされた小説「ダヴィンチ・コード」のヒットはまだ記憶に新しい。作者のダン・ブラウンのバックグラウンドはというと、著名な数学者の父と敬虔なキリスト教徒の母。そして妻は美術史研究者で画家。そんな家族の影響を色濃く反映させたかのようなミステリー小説を世に送り出し続け、その累計は2億部にも達する。

「ダヴィンチ・コード」はとんでもない人気だったから、ネタバレしないように細心の注意を払い、機密情報扱いだったという。シリーズ4作目「インフェルノ」が発売されたときには、各国の翻訳家を地下室に隔離して作業を行わせていたというから驚きだ。その逸話をベースにつくりだされたのが映画「9人の翻訳家 囚われたベストセラー」である。

あらすじはこうだ。世界中で大人気の小説「デダリュス」の完結編が発売されることになった。そこで集められたのは9人の翻訳家。原稿流出を防ぐため洋館に軟禁された彼らは、外出はもちろんのこと、外部との連絡手段を断たれて翻訳作業に当たることに。そんなあるとき、出版社の社長の元に「冒頭10ページをネットに公開した。24時間以内に500万ユーロを支払わなければ、次の100ページも公開する」という脅迫メールが届く...。

ストーリー自体はごくシンプルだが、10ヶ国の言葉や文化が入り乱れることで、深みのあるミステリーとして楽しめた。

(文/峰典子)

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