もやもやレビュー

美しいひと夏の恋。『君の名前で僕を呼んで』

君の名前で僕を呼んで(字幕版)
『君の名前で僕を呼んで(字幕版)』
ティモシー・シャラメ,アーミー・ハマー,マイケル・スタールバーグ,アミラ・カサール,ジェームズ・アイヴォリー,ルカ・グァダニーノ
商品を購入する
>> Amazon.co.jp

 17歳の少年が24歳のアメリカ人男性に恋をする。北イタリアを舞台とした一夏の恋を描いた映画『君の名前で僕を呼んで』を鑑賞しました。今や注目作品に引っ張りだこのティモシー・シャラメと『コードネームU.N.C.L.E.』などのアーミー・ハマー共演。美形の男性による甘く、切なく、そして激しい恋模様を描いていて、BL好きはもちろんのこと、恋愛の美しさに浸りたい方にはおすすめの一本。

 舞台は1980年代のイタリア。17歳のエリオ(ティモシー・シャラメ)は、大学教授の父が招いた24歳のアメリカ人男性、オリヴァー(アーミー・ハマー)と出会います。一緒に本を読んだり、川を泳いだりとリラックスした日々を過ごす中で、エリオはオリヴァーに惹かれながらも、どこか掴めない彼の行動に苛立ちや不安を覚えます。思春期らしいエリオの純愛に、オリヴァーも気づき、やがて2人は激しく惹かれ合います。しかし夏の終わり、オリヴァーとの別れが近づき......。

 イタリアの避暑地が舞台で、家の中を裸足で駆け回ったり、ローカルのバーに立ち寄ったり。美しくリラックスした雰囲気の中で始まる激しい恋に、誰しも釘付けになることでしょう。注目すべきは初のキスシーン。戸惑いながらもオリヴァーにアタックするエリオは、まさに乙女心の塊。心から恋をしたときの表情じゃないか......! そんなリアルな演技に、魅了されてしまうのです。

 ちなみに本作、続編のウワサが出て大盛り上がりとなっていましたが、今年の1月にオリヴァー役のアーミー・ハマーが複数の女性から性的虐待を告発されたことで、数々のプロジェクトを降板。もしかしたら続編の可能性はとっても低いんじゃないかと言われていますが、きっとこの美しい恋の続きが見たいと思う人は少なくないはず。まさに芸術的作品。まったりした昼過ぎに見たい一本です。

(文/トキエス)

« 前の記事「もやもやレビュー」記事一覧次の記事 »

BOOKSTAND

BOOK STANDプレミアム