他人が友人となり、そして家族になるまで『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』
- 『ザ・ピーナッツバター・ファルコン [Blu-ray]』
- シャイア・ラブーフ,ダコタ・ジョンソン,ザック・ゴッツァーゲン,ジョン・ホークス,トーマス・ヘイデン・チャーチ,タイラー・ニルソン,マイケル・シュワルツ
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アメリカでの公開時、わずか17館での上映から、公開6週目には1400を超える映画館で上映された感動作品『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』。今では"問題児"のイメージが強い俳優シャイア・ラブーフと『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』『サスペリア』などで魅力を発揮し続けているダコタ・ジョンソン、そして本作で長編デビューを飾ったザック・ゴッツァーゲンが手作りの筏に乗っているジャケットからは、「絶対に泣けそう」「なんだかほっこりしそう」と言う印象がありますが、まさにジャケットのイメージ通り優しい作品でした。
舞台は、ジョージア州サバンナ郊外。施設からの脱走を試みるダウン症の青年ザックには、ある夢がありました。それは憧れのプロレスラーが経営するスクールに通うこと。彼は、友人であるおじいちゃんの力を借りて、施設から見事脱走。パンツ一丁で逃げ出した彼が隠れたのはあるボートでした。そのボートに、いかにも怖そうなお兄ちゃん2人から追われる"問題児"のタイラーが乗り込み、ボートを爆走させます。そんな"逃亡者"2人の偶然の出会い。タイラーは最初、ザックに構わず自分の道をいきますが、どうにも彼が忘れられず、2人は旅路をともにすることに。一方、施設で働く看護師のエレノアは、ザックが逃走したのは自分のせいだと批判されたことで、たった1人でザックを探します。
憧れの人のようにプロレスラーになりたい。そんな青年ザックを元気づけ、勇気づけていくタイラー。いつしか2人の間に友情が生まれ、お互いを支え合っていく。そんな信頼関係が築かれていく中、エレノアも加わり、3人はプロレスラーのスクールに向かいます。ザックが心配なあまり、服を着せてあげたり、お菓子を食べさせてあげようとしたりするエレノア。一方で、ダウン症でもザックにはできることがあると冒険させるタイラー。2人の意見がぶつかり合う中、互いにその関係も"家族"のようになっていきます。
孤独な人に「決して家族を諦めてはいけない」「友情からできる家族もある」と教えてくれる心温まる一本。ハンカチまたはティッシュは必需品。ちなみに本作公開は、シャイア・ラブーフの問題行為によって危ぶまれたこともあったそう。本当に世に公開されてよかった......!と思える一本です。
(文/トキエス)