もやもやレビュー

"他人を傷つけたくない"人が復讐を誓う『青くて痛くて脆い』

「青くて痛くて脆い」(Blu-ray スペシャルエディション)
『「青くて痛くて脆い」(Blu-ray スペシャルエディション)』
吉沢亮,杉咲花,住野よる,狩山俊輔,沢桂一,菊川雄士,弓矢政法,吉沢亮,杉咲花,岡山天音,松本穂香,清水尋也
バップ
商品を購入する
>> Amazon.co.jp
>> HMV&BOOKS

 実力派若手俳優の吉沢亮と、杉咲花共演の映画『青くて痛くて脆い』。「君の膵臓を食べたい」の住野よるの同名小説が原作です。予告編は残酷すぎるセンセーショナルなイメージがありましたが、実際観てみると、なんとも心が重くなるヘビーなドラマでした。

 他人と距離を置くことで、自分も他人も傷つけない。そんな考えを持っている田端楓(吉沢亮)。彼は、「戦争をなくしたい」「世界は変えられる」と大学の講義中に熱く語り、周りからドン引きされてしまう変わった女子、秋好寿乃(杉咲花)から突然声をかけられます。最初は相手にしないでおこうと避けていた田端でしたが、お互いひとりぼっちだった2人はやがて秘密結社サークル「モアイ」を立ち上げることに。「世界を変える」という目標を掲げたサークルは、時が経つにつれどんどん大きくなっていき、やがてバーベキューやビジネス交流会を開催する"意識高い"系のサークルに。ある日、秋好がいなくなったことで、田端の心に変化が。変貌したモアイを前に、怒りや裏切られたという思いが込み上げ、「モアイをぶっ潰す」と復讐を誓います。

 他人と距離を置いていた田端の人生に秋好が突然現れたことで、彼の生活は一変。戸惑いながらも、しっかり青春を感じられる日々を送りますが、そんな楽しい時間がずっと続くわけではありません。「傷つきたくない」...‥そんな思いから、面と向かって復讐できない田端は、SNSでサークルを攻撃していきます。端から見ると"痛いやつ"というイメージが強い田端と秋好。2人の生み出す青春物語は、フレッシュではなく、まさしくタイトル通りの"青くて痛くて脆い"ものでした。予告編を見て衝撃的結末を期待している人からしたら、ちょっと期待外れですが、ダークな青春を感じたい人はぜひ。

(文/トキエス)

« 前の記事「もやもやレビュー」記事一覧次の記事 »

BOOKSTAND

BOOK STANDプレミアム