もやもやレビュー

人種を超えた友情の先にあった盲点とは『ブラインドスポッティング』

ブラインドスポッティング [Blu-ray]
『ブラインドスポッティング [Blu-ray]』
ダヴィード・ディグス,ラファエル・カザル,ジャニナ・ガヴァンカー,ジャスミン・シーファス・ジョーンズ,ウトカルシュ・アンブドゥカル,カルロス・ロペス・エストラーダ
TCエンタテインメント
商品を購入する
>> Amazon.co.jp
>> HMV&BOOKS

周囲にはバレているけれど、自分自身では気付けていない行動、というものがある。それを「ブラインドスポット」(=盲点)と呼ぶのだという。多かれ少なかれ皆にあるものだ。例えば、全くそんなつもりもなく、相手を萎縮させるような態度を取ってしまう。部下のためと思って自分で仕事を片付け、相手の成長する機会を奪ってしまう。それもまた盲点。いずれにしても、自力で気づき改善するのは難しそうだ。

カルロス・ロペス・エストラーダ監督の初長編となった本作は、オバマ元大統領が18年のベストムービーの一本に選出した作品。人種の異なる二人の友情と、それを取り巻く問題を描いた物語である。同じ目線のように見える主人公たちにも、盲点があることを見る者に問いかけている。

オークランドで暮らす黒人コリンは、保護観察期間が終了するまでの残り3日を無事に乗り切ることだけを考え、幼馴染みの白人マイルズとともに引越し業者として働いている。しかしある日の仕事中、黒人男性が白人警官に撃たれ殺される現場に居合わせてしまう。その事件をきっかけに、2人の関係はわずかに歪み始める......。

社会派ドラマとしていろいろ考えさせられる展開だが、コメディ映画の要素もあり、しっかりと楽しませてくれる作品。映画だからと見て終わるのではなく、相手を思いやる気持ちを持つよう喝をいれられる。

(文/峰典子)

« 前の記事「もやもやレビュー」記事一覧次の記事 »

BOOKSTAND

BOOK STANDプレミアム