新進気鋭のクリエーター集結!オムニバス形式のPOVホラー『V/H/S シンドローム』
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登場人物の目線で撮影された視点ショット(POV)形式の映画は、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』誕生以来、もはやホラー映画のド定番と言っても過言ではないでしょう。低予算で無名の俳優たちが一気に話題になる。成功を夢見る映画の作り手としては手をつけたいジャンルの一つなのかもしれません。そんなPOVホラーのジャンルで気鋭のクリエーターたちの短編作品をオムニバス形式にまとめたホラー『V/H/S シンドローム』が2013年に作られ、その年の映画祭でかなり話題になりました。
駐車場にいたカップルを襲って、女性の胸を無理矢理露出させる様子を盗撮し、売りさばいていた不良グループたち。彼らにある日、謎の人物からギャラのいい仕事が舞い込んできます。それは、ある家から一本のVHSテープを盗むという奇妙なものでした。「議員が娘とヤってる動画か何かだろう」そんな軽い気持ちで仕事を引き受けた彼らでしたが、その家に侵入すると、大量のVHSテープと一体の中年男性の死体が。目的のテープを探すため一つ一つのテープを再生していくのですが、そこにはとんでもない恐怖映像が収められていて......。
不良グループらとともに短いVHSテープをひとつひとつ"再生"していく、そんな感覚の本作。『ホステル』などで知られるイーライ・ロス監督に見出されたクリエイターたちが作ったとあって、ストーリーが衝撃的なもの、スプラッター系のもの、SFっぽいもの、悪魔祓い的なものなど、ひとつひとつのVHSに個性が光ります。グロテスクなシーンがかなり多く、さらにPOV形式で映像が見にくい部分も多いので、酔いやすいのが本作の特徴。ホラーを見慣れた方でも注意が必要なほど。しかしサンダンス祭ほか各映画祭で話題となり、続編まで作られた本作は、ホラー好きは見ておきたい一本かもしれません。また、VHSを見た不良グループたちの行く末にも注目です。
(文/トキエス)