もやもやレビュー

まるでドラえもん。多機能な死体と遭難男の友情を描く『スイス・アーミー・マン』

スイス・アーミー・マン(字幕版)
『スイス・アーミー・マン(字幕版)』
ダニエル・ラドクリフ,ポール・ダノ,メアリー・エリザベス・ウィンステッド,ダニエル・シャイナート,ダニエル・クワン,ダニエル・シャイナート,ダニエル・クワン
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舞台はとある無人島。理由はよくわからないが、どうやら難破してしまったのだろう、孤独に打ちひしがれ、いまにも自殺しようとしている青年ハンク(ポール・ダノ)。その時、彼の目に飛び込んできたのは、波打ち際に横たわる死体のメニ―(ダニエル・ラドクリフ)。

ホラーなの? ゾンビなの? 身構えるこちらの緊張感をぶち壊すのが、メニーから絶えることなくブッブッと聞こえるオナラ...。いや、これ、もしかしたらもしかするかもしれないぞと、またがってみたら、いけるじゃん。ジェットスキーよろしく、ジェット死体で無人島を脱出するハンク。冒頭から度肝を抜かれたまま、オープニングタイトルが登場。ここで、好き〜!という人と無理かも〜!に2分されると思うが、意表をつかれるシーンの連続に目が離せないし、一発ギャグのシーンなのに、なぜか泣けてきたりと予想のつかない作品なので、もうちょっとだけ頑張って(?) 欲しい。サンダンス映画祭でも、途中退席した観客が多かったにもかかわらず、米国ドラマ映画部門最優秀監督賞を受賞。決して奇抜さだけでは語れないのだ。

タイトルの由来は、メニーがスイス・アーミーナイフのように多機能であるということ。その機能の数々は本編で確認してもらうとして、やっぱり、死体のメニーこと、ダニエル・ラドクリフのキャスティングが成功の鍵でしょうか。そして、ハンク役ポール・ダノ。子役出身の二人が身も心も捧げた、最高の一本なのである。

(文/峰典子)

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