もやもやレビュー

北風とともに甘い匂いの季節がやってくる『ショコラ』

ショコラ (字幕版)
『ショコラ (字幕版)』
ラッセ・ハルストレム,レスリー・ホールラン | デヴィッド・ブラウン | キット・ゴールデン
商品を購入する
>> Amazon.co.jp

時代は1959年。春の訪れの少し前、フランスの片田舎の村ランスケにやって来たシングルマザー、ヴィアンヌ(ジュリエット・ビノシュ)と、娘アヌーク。お揃いの赤いコートに身を包み、不思議な魅力を放つ母娘は、チョコレート屋を開業するためにこの村へきたのだ。

地主のおばあさん(ジュディ・デンチがいい味だしてる)に店舗を貸してもらい、オープン準備を進めるヴィアンヌ。しかし、この村は皆が皆、宗教的な規律に則って暮らしており、堅苦しく排他的な村だった。周りから警戒され、目の敵にされながらも、チョコレートの甘く芳醇な香りと、ヴィアンヌの明るく献身的なキャラクターが、次第に村人たちの頑なな心を溶かしていく。そんな折、川を船で旅するジプシーの一団が村に逗留。ヴィアンヌは、ジプシーのリーダー、ルー(ジョニー・デップ)に心を惹かれ恋に落ちるのだが、やがて村に事件が起きて......。

寂れた村の片隅で、色とりどりのショコラがくつくつと煮込まれていく画は、こちら側にまで甘い匂いが広がるようで幸せな気持ちになる。イギリスの作家ジョアン・ハリスが著した同名小説を、スウェーデン出身の監督が映画化。チョコレートに秘められた魔力がある事を、それを口にする人の笑顔だけで伝える説得力よ。寒く長い夜にホットチョコレートを用意しながら見たい作品である。

(文/峰典子)

« 前の記事「もやもやレビュー」記事一覧次の記事 »

BOOKSTAND

BOOK STANDプレミアム