もやもやレビュー

今の仕事とさようならがしたければ『リストラ・マン』

リストラ・マン (字幕版)
『リストラ・マン (字幕版)』
Ron Livingston,Jennifer Aniston,Mike Judge
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「アナタのおかげで、大キライな仕事をやめることができました!」俳優のロン・リビングストンは、街ゆく人にそう声を掛けられることがよくあるらしい。公開時の評判はそこそこだったものの、いまやカルト映画とも呼ばれる彼の主演作『リストラ・マン』(1999年)は、辞職を後押ししてしまうことで有名な作品なのである。

エラそうに振る舞う上司と、退屈な仕事にため息をつきながら、悶々とした日々を送る主人公のピーター(ロン・リビングストン)。ところがある日、彼女に勧められ催眠療法を受けてみると、ピーターの心のモヤは見事に晴れてしまう。それからは仕事を無断欠勤したり、上司を堂々と無視したり、オフィスで魚をさばいたり、と何かから解き放たれたかのような行動に出るように。生きたいように生きる術を身につけたピーターは、最終的に会社の資産を横領しようと仲間と計画を練り始めるが...というのがあらすじ。

監督のマイク・ジャッジも、いっときは週の大半、とあるオフィスでファイルをアルファベット順に並べ変えていたという。そもそもこの作品が生まれたのも、彼が当時オフィスで体験した苦痛をもとに制作したアニメ『ミルトン』(1991年)を実写化してほしい、と頼まれたからだそう。分厚いレンズのメガネをかけて、もごもごと喋るミルトンは、映画では脇役に設定されたものの、しっかりとやらかしてくれるので目が離せない。

「今の仕事を離れて、新たな世界に飛び出たい!でも、やめる勇気がない...」そんなときはこの映画に頼るのもありかもしれない。

(文/鈴木未来)

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