もやもやレビュー

父娘が導く、片道800kmの鳥の旅『グース』

グース [DVD]
『グース [DVD]』
ジェフ・ダニエルズ,アンナ・パキン,テリー・キニー,ダナ・デラニー,キャロル・バラード,アンナ・パキン
ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
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グースと聞いてピンとくるだろうか。秋にシベリアから日本にやってくる渡り鳥で雁(ガン)ともいう。かつては日本全国どこでも見られた、ありふれた鳥だった。映画『グース』に登場するのは、カナダガンと呼ばれる種で、重く響くように、ホーンクホーンクと鳴く。

主人公は母を事故で亡くし、カナダに住む父親に引き取られた14歳の少女エイミー。父親は奇妙な彫刻を作る芸術家で、趣味はグライダーで空を飛ぶこと。新しい恋人もいて、エイミーは居場所がなく、新しい暮らしになじめないでいた。

ある日、彼女は森で親を亡くしたグースの卵を見つけ、それを育てることにする。やがて卵がかえり、16羽のヒナたちが顔を出す(めちゃくちゃかわいい)。ヒナの世話をするうちに徐々に元気を取り戻すエイミー。やがて秋が来る。グースたちを自然に返すために飛び方を教え、渡り鳥に戻さなくてはならない。目的地は越冬地であるアメリカのノースカロライナ州。父トーマスはエンジン付きグライダーを開発し、それを使ってグースを先頭にたてて、彼らを南に渡らせようと試行錯誤する。父娘の絆を高めながら、グースたちを率いた片道800キロの旅が始まる...。

エイミーを演じるのは、ピアノ・レッスンでデビューし、アカデミー助演女優賞を受賞したアンナ・パキン。名優ジェフ・ダニエルズとのコンビネーションが素晴らしく、本当の親子を見ているよう。

(文/峰典子)

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