もやもやレビュー

セットは全部ダンボール。DIYなファンタジーホラー 『キラーメイズ』

キラー・メイズ [DVD]
『キラー・メイズ [DVD]』
ミーラ・ロヒット・クンバーニ,ジェームズ・アーバニアク,ビル・ワターソン
キングレコード
商品を購入する
>> Amazon.co.jp
>> HMV&BOOKS

兎にも角にも設定がユニークなのだが、そこに惑わされずに見てみると、意外な一面が見えてくる(かもしれない)。

うだつの上がらない自称芸術家のデイブと同棲中のアニー。彼女が友達との旅行を終えて家に帰ってくると、彼がいない。いや、声は聞こえるのだが、姿が見えないのだ。部屋の真ん中に鎮座しているのは、ダンボールで作られた迷路のような何か。「顔を見せて」「出られない」「壊す?」「壊すな。一生懸命作ったから。親友に連絡しろ。」

かくして集まった彼女と友人(&野次馬)たちが、三日も外に出ていないというデイブの救出に向かうことに。入ってみると驚き。中は想像を超えて道が続き、リビングの広さどころではないのである。果たして彼を助け、無事に脱出することができるのか。

低予算を逆手に取って、美術はほぼ100%ダンボール。まるで子どものような遊び心と洗練されたデザインの絶妙なバランス。迷路の中の各部屋は凝りに凝っていて、見ているだけでも楽しい。登場人物が前に進むにしたがって、命を吹き込まれた折り紙の鶴が人を襲ったり、ギロチンの仕掛けがあったり。しかし、吹き出す血は赤い毛糸なので、なぜかホッコリと微笑んでしまう。どうやらデイブの想像力を借りて成長し続けている迷路なのだが、その謎を解き明かさなくては脱出不可能なようである...。
新たな表現の1ページに挑んだ当作品は2017年シッチェス映画祭ニュービジョン・ワン/プラス部門で最優秀作品賞を受賞。B級と呼ぶにはちょっと勿体ない。

(文/峰典子)

« 前の記事「もやもやレビュー」記事一覧次の記事 »

BOOKSTAND

BOOK STANDプレミアム