もやもやレビュー

悪魔を信じない牧師が"悪魔祓い"した結果......。『ラスト・エクソシズム』

ラスト・エクソシズム
『ラスト・エクソシズム』
パトリック・ファビアン,アシュリー・ベル,ダニエル・スタム,エリック・ニューマン
商品を購入する
>> Amazon.co.jp

 幼い頃から教会で活躍してきた牧師が引退を兼ねて、悪魔祓い=エクソシズムの真実を暴くドキュメンタリーに出演。その行く末をモニュメンタリー方式で描いた映画『ラスト・エクソシズム』を鑑賞しました。エクソシズムといえば1973年の『エクソシスト』以来、日本でもホラー映画の定番テーマとなっていますが、本作の面白いところは、まさかのまさか、牧師さんが悪魔を信じていないということです。

 主人公は牧師のマーカス。とあるエクソシズム中に幼い男の子が死んでしまったという記事を見たマーカスは、自身も同じ年頃の息子がいるため、引退を決意。しかも彼は、これまで悪魔を見たことがないため、エクソシズムを信じていないといいます。過去に自分が行ってきたエクソシズムも"真似事"で、自分で作成したサウンドエフェクトなどを使って悪魔を呼び出したフリをするなどし、「悪魔が取り付いている」と信じている人を精神的に開放してきました。そんな彼は、自身の最後となるエクソシズムをドキュメンタリーとして残すことに。さっそく撮影クルーとともに、依頼のあった牧場へ向かいます。そこには、毎夜、家畜を無意識のうちに殺してしまうという少女ネルがいました。しかし、撮影中に異変が起こり、ネルが周囲の人間を襲いだし......。

 普通のエクソシスト系映画とは違い、悪魔を信じず、「悪魔にとりつかれたと言う人は精神を病んでいると」思っている、なんとも牧師さんらしくない牧師さんが主人公なところが面白い。それよりもどちらかというと、ドキュメンタリー作品作りを楽しんでいる。そんな彼と撮影クルーを襲う恐怖に、あいた口がふさがりません。そして本作は、軽いどんでん返しみたいなものもあるので、予想外の結末がお好きな方におすすめ。ちょっぴりグロテスクなので、鑑賞の際はご注意を。

(文/トキエス)

« 前の記事「もやもやレビュー」記事一覧次の記事 »

BOOK STANDプレミアム