もやもやレビュー

ファンタジーとリアルが表裏一体!夏のおすすめ作品『きみと、波にのれたら』

『きみと、波にのれたら』 6月21日(金)より全国公開中

 これまで、『夜明け告げるルーのうた』や『夜は短し歩けよ乙女』などを手がけてきた湯浅政明監督。アニメに疎い私のような映画ファンも、すっとアニメの世界に招き入れてくれる...そんな不思議なチカラを持つ彼の最新作が、6月21日より公開! その名も『きみと、波にのれたら』。現実世界にあり得そうなリアルなラブストーリーと、アニメだからこそのファンタジー感が楽しめる、夏にピッタリな爽やか作品です!

サブ1.jpg

 幼いころに住んでいた小さな港町へと帰ってきた、主人公のひな子(川栄李奈)。サーフィンが大好きで波の上では自信満々なのに、自分の将来についてはなんかイマイチ......。さらに引っ越して早々、火事騒動に巻き込まれてしまいます。しかしその騒動で、消防士の港(片寄涼太)と運命的な出会いを果たし、二人は恋に落ちます。ずっと一緒――。このまま幸せが続いていくと思っていた矢先、海で救助にあたり、命を落としてしまった港。そのせいで、ひな子は大好きな海を見ることさえできなくなってしまうのです。しかし、ある日、二人の思い出の曲を口ずさむと、水の中に港が現れるように! 死んだはずの港との再会に喜ぶひな子。一方で、港の存在が見えない周囲の人間はひな子を心配し始め...。

サブ2.jpg

 水筒に話しかけたり、水族館デートで買ったビニール製のスナメリに水を入れて連れ歩いたり。どう考えてもひな子の行動がおかしい...ファンタジーでもおかしい! それなのに、ツッコミを入れる間もなく、逆に見入ってしまうのは、主要人物たちの後ろにいつもリアルな人間模様があるから。
 ひな子のおかしな行動に、不快な眼差しを向ける女性。冒頭の火事騒動を起こす若者たち。消防署で働く人々。全てが、どこかで現実に見たことあるような光景のように感じるのです。ファンタジーとリアルが見事に表裏一体となっている......これこそ湯浅監督マジックなのかもしれません。

 港が水の中に現れるようになった理由が判明する頃には、トキメキと感動が同時に溢れ出すこと間違いなし。また、きれいな "水"の映像表現は大スクリーンで観てほしい! カップルにおすすめの夏らしい一本です。

(文/トキエス)

***

サブ3.jpg

『きみと、波にのれたら』
6月21日(金)より全国公開中

監督:湯浅政明
出演:片寄涼太、 川栄李奈、松本穂香、伊藤健太郎
配給:東宝

2019/日本映画/96分
公式サイト:https://kimi-nami.com/
 ◆予告編:https://youtu.be/n7HtNsJdMDw
 ◆本編映像「港とひな子の歌」編→ https://youtu.be/E5SHacpKokc
©2019「きみと、波にのれたら」製作委員会

« 前の記事「もやもやレビュー」記事一覧次の記事 »

BOOKSTAND

BOOK STANDプレミアム