もやもやレビュー

狂気溢れた残酷な"芸術作品"『ハウス・ジャック・ビルト』

『ハウス・ジャック・ビルト』 6月14日(金)より新宿バルト9、ヒューマントラストシネマ有楽町 ほか全国公開

これまでセンセーショナルな作品を生み出し続けた鬼才、ラース・フォン・トリアー監督。彼の最新作『ハウス・ジャック・ビルト』がいよいよ日本上陸。R18指定で上映される本作は、カンヌで賛否真っ二つに分かれたことでも話題になりました。途中退場者が続出したにも関わらず、エンドロール後にはスタンディングオベーションが鳴り止まなかった......そのエピソードだけでも、すでに魅力的。まるで悪魔の囁きのような、イケない引力を持つ本作。観るには相当な覚悟が必要です。

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舞台は1970年代の米ワシントン州。建築家を夢見る技師のジャック(マット・ディロン)は、ドライブ中に雪道で立ち往生していた美女(ユマ・サーマン)と遭遇します。ジャッキが壊れて困っていたため、ジャックは仕方なく修理工場までその女性を送ってあげることに。しかし、助手席に乗った途端その女性は傲慢な本性をあらわにし、さらにはジャックにとんでもなく失礼な発言を連発。「虫も殺せないような意気地なし」......その言葉が引き金となり、ついにジャックは女性を殺害。そこからジャックはアートを創作するかのように殺人に没頭するようになります。

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まるで、何かに取り憑かれたように次々と容赦なく人を殺めていくジャック。まるで、これは一種の芸術だと言わんばかりに冷凍倉庫に死体を保存していきます。彼の残虐な殺害シーン、アメリカでは業界団体MPAAの審査によって修正版が上映されたのですが、なんと日本に上陸するのは無修正版!ちなみに殺人の描写について監督は、病理学者に話を聞いたりしてリサーチしたそう。これは観るのに相当な覚悟が必要だ......!リアルすぎて思わず目をそむけたくなるシーンが盛りだくさん。しかしその中で描かれているジャックの心の闇は、危険な魅力を放ち、なぜか変に共感してしまう......。そんな不思議でショッキングな本作は、芸術を突き詰めた先の最高級の作品なのかも。『ハウス・ジャック・ビルト』は6月14日(金曜日)公開!

(文/トキエス)

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『ハウス・ジャック・ビルト』
6月14日(金)より新宿バルト9、ヒューマントラストシネマ有楽町 ほか全国公開

監督・脚本:ラース・フォン・トリアー
出演:マット・ディロン、ブルーノ・ガンツ、ユマ・サーマン、シオバン・ファロン、ソフィー・グローベール、ライリー・キーオ、ジェレミー・デイビス
配給:クロックワークス、アルバトロス・フィルム 【R18+】

原題: The House that Jack Build
2018/デンマーク・フランス・ドイツ・スウェーデン合作/155分
公式サイト:http://housejackbuilt.jp
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