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奇妙な兄弟愛を描くスリラー『ジョナサン-ふたつの顔の男-』

『ジョナサン-ふたつの顔の男-』 6月21日(金)より新宿シネマカリテほか全国公開

 6月21日(金)に、新宿シネマカリテをはじめ全国公開される『ジョナサン-ふたつの顔の男-』。12時間で人格が切り替わる一人の青年、ジョナサンの奇妙な兄弟愛と、不思議な生活が描かれており、冒頭から「これは最後の最後まで入念に観なくては!」という気持ちにさせてくれる魅力度の高いスリラー作品です。

 毎朝7時に起きて午後7時に就寝――規則正しい生活を送っているジョナサン(アンセル・エルゴート)。彼にはある秘密がありました。それは、ジョナサンの身体の中にもう一つの人格、ジョンがいること。午前7時から午後7時までがジョナサン、そして午後7時から午前7時まではジョン。彼らの人格は、脳に埋め込まれたタイマーで切り替えられていました。普通の生活を送るため「恋人は作らない」「ウソはつかない」などの徹底ルールのもと、ビデオメッセージで自分の時間に起こった出来事をシェアしていたふたり。しかし、ジョンが密かに女性と交際していることが発覚し、ふたりの歯車が狂い始めます。

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 内向的なジョナサンと、正反対の性格のジョン。そんなふたりがひとつの身体を共有しあって生きていく。なんとも斬新で奇妙な生活を、終始ジョナサンの視点で描いている本作。急に連絡が取れなくなるジョンに対して抱く怒り、嫉妬、そして愛情。また誰かと繋がりたいという叶わない願いに心を痛めていくジョナサンを見ていると、なんとも言えない気持ちにさせられます。本作のポイントは、斬新な設定なのに、どこか共感できてしまうところ。ジョナサンの孤独から来る嫉妬心などがやけにリアルで、孤独に慣れてしまった彼の心持に多かれ少なかれ共鳴できるのです。最後の最後まで目が話せない、スリラー作品。ぜひ劇場で楽しんでみてください。

(文/トキエス)

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『ジョナサン-ふたつの顔の男-』
6月21日(金)より新宿シネマカリテほか全国公開

監督:ビル・オリバー
出演:アンセル・エルゴート、スーキー・ウォーターハウス、マット・ボマー、パトリシア・クラークソン
配給:プレシディオ

原題:JONATHAN
2018/アメリカ/95分
公式サイト:jonathan-movie.jp 
(c)2018 Jonathan Productions, Inc. All Rights Reserved

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