もやもやレビュー

永遠のテーマ男女の友情は成立するのか?『月極オトコトモダチ』

『月極オトコトモダチ』 6月8日(土)より新宿武蔵野館、アップリンク吉祥寺、イオンシネマ板橋ほか全国順次ロードショー!

「男女の友情は成立するのか?」という疑問はいつの時代も、どこの国でも存在する。
さて、あなたには異性の友達と呼べる存在はいますか? 今の時代、男も女も性別なんて関係なく友達は友達だよ!という考え方に昔よりもなっているのかもしれない。それでも、大人になってから知り合った男女の間で友達関係から恋愛へと発展するケースは多く、友情がいつしか恋心へと変化していくことはめずらしいことではないのだろう。

WEBマガジン編集者の望月那沙(徳永えり)が偶然、街で出逢った柳瀬草太(橋本淳)は「レンタル友達」という仕事をしているということが発覚。「男女関係にならないスイッチを持っている」という彼の言葉に興味をもち、レンタルしてそのことを仕事の記事にすることを決意する。柳瀬との日々を綴った連載は好評で、編集長から一晩をともにしたらどうなるか実験してみてはどうかと提案される。はたして、2人の関係はどのようなラストをむかえるのだろうか?

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この作品をみていて非常に面白いと感じたのはリアルなアラサー女子が目の前にいる。なのに、男性は「レンタル友達」という謎の仕事をしていてどこかつかみどころもなく、でも気兼ねしなくていい存在としてそこに空気みたいにフワフワいてくれる。それは仕事だからなの?この2人の作る不思議な人間関係のバランスがいままでにみたことがなく最後の最後までどうなるのかわからない。

みなさんも映画を鑑賞した後に、もしも自分が異性の友達を月極レンタルしたら?と考えてみて欲しい。お金を払って時間を決めて会う関係にむなしさや寂しさをきっと抱くだろう。一人になったときにレンタルしてしまったことによってうまれる感情と向き合いもやもやするんだろう。会っている時は楽しくてもこちらから声をかけなければ終わってしまう、そんな寂しい関係だということ。そんな感情に気付いたとしても気付かないふりをするのかもしれない。お金を払うことはないとしても、普通の友達でもこちらからいつも声をかけて遊ぶ友達は、もしも、声をかけなければずっと会うことはないかもしれない。どこか似ているようだけれど、それでも、月極の友達と普通の友達の間には大きな違いがあることに気がつくだろう。

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普通の恋愛映画だと、2人は結局恋に落ちてハッピーエンドというのがよくあるシナリオだが、そう簡単にいかないから目が離せない。
本当に大事なことなのでもう一度言いたい。最後の最後まで目を離さないで見てください!

(文/杉本結)

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『月極オトコトモダチ』
6月8日(土)より新宿武蔵野館、アップリンク吉祥寺、イオンシネマ板橋ほか全国順次ロードショー!

監督・脚本:穐山茉由
出演:徳永えり、橋本淳、芦那すみれ、野崎智子、師岡広明 ほか
配給:SPOTTED PRODUCTIONS

2019/日本映画/78分
公式サイト:https://tsukigimefriend.com
(c)2019「月極オトコトモダチ」製作委員会

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