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新たな最強のふたり!?『パリ、嘘つきな恋』

『パリ、嘘つきな恋』 5月24日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開

「嘘」がキーワードとなる映画は多く存在する。その中でも、この映画の嘘は本当に監督が言いたいことを誤解して受けとめられかねないのではないだろうかと感じた。特にまじめな日本人には少しジョークにしてはきつい。

というのも、普段遊び人風で真剣な恋は避けてきた50歳間近の男性が、偶然にも車いすに座っているシチュエーションで出会った女性を口説くために障害者のふりをするところから物語は始まる。そんな主人公ジョスラン(フランク・デュボスク)はその嘘を訂正することが出来ないまま、本気になれるかもしれない女性と出会ってしまう。この二人の恋の行方はいかに?という物語なのだ。

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この映画を製作した監督は主人公ジョスランを演じたフランク・デュボスクだ。フランスでは有名なコメディアンであり初監督作品だ。『最強のふたり』の製作スタジオ、ゴーモンが生んだ新たな"最強のふたり"とも言われ、5週連続トップ10入りをはたし異例の大ヒットを記録した。

監督は「愛をもって相手を見れば、差異に対する偏見は消えることを伝えたい」と語っている。車いすの人を恋愛対象としてみられるのか?人間の内面をみることの大切さをこの物語は教えてくれる。どんな人間にも弱点はある。完璧を求めることより、弱さをみせることでお互いを知る為の第一歩になるだろう。

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この映画の入りは「嘘」だけど、本当に伝えたいことは映画、ドラマになった『パーフェクトワールド』で扱われているテーマと似ている。
人に惹かれる時、まわりの目を気にするより自分自身の気持ちとまっすぐ向き合うことが大切だ。その時間としてマラソンを取り入れているのはとてもよかった。
ラストシーンは予想しきれないまさかの展開がまっているので、ぜひこの恋の行方を最後まで見守ってほしい。

(文/杉本結)

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『パリ、嘘つきな恋』
5月24日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開

監督・脚本:フランク・デュボスク
出演:フランク・デュボスク、アレクサンドラ・ラミー、ジェラール・ダルモン、エルザ・ジルベルスタイン、ローラン・バトー ほか
配給:松竹

原題:Tout le monde debout
2018/フランス/107分
公式サイト:http://paris-uso.jp
(c)2018 Gaumont / La Boetie Films / TF1 Films Production / Pour Toi Public

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