もやもやレビュー

こんな恋愛経験ある?『愛がなんだ』

『愛がなんだ』 テアトル新宿ほか全国公開中!

突然ですが、片思いをしたことはありますか?この映画は究極の片思いをとてつもなくリアルに映像にすることに成功した作品だと言える。原作は『空中庭園』『八日目の蝉』など映像化された作品も数多い角田光代。原作でキャンプへいくシーンは映画では少し変更されオリジナルストーリーとなっている。

ごく普通のOLテルコ(岸井ゆきの)が友達の結婚式でまもちゃん(成田凌)と知り合う。彼から連絡がくれば即座に対応するテルコ。彼で頭がいっぱいの生活をするテルコと微妙な距離感を継続するまもちゃんの究極の片思いの結末は...。

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仕事をしながら恋愛をしている時、携帯電話がやたらと気になったり、返信をすぐにするか少ししてからするか悩んだり、今考えると面白いほど些細なことにドキドキうきうきさせられていた。そして、この人じゃなきゃダメだと思い執着していたあの気持ちは一体なんだったんだろう。

テルコの友人中原君(若葉竜也)が劇中で「愛ってなんすかね?」とつぶやく。この言葉に強く心打たれた。「愛」ってきっと人それぞれ、その時々によって変化する不安定なものなのだろう。少なくとも「愛」にはお金や目に見える形では表現できない不思議なパワーがみちあふれている。愛する対象は恋愛だけではなく、友人や家族であってもいい。相手が自分のことを必要としてくれる、同じ空間にいられるだけで幸せを感じられる。ほんの少しの繋がりでも持っていたい。

美しすぎる恋愛映画とはひと味違う本作。現代のリアルがつめこまれたテルコの選んだラストの展開はある意味衝撃であり、これもひとつの「愛」なのだろう。

(文/杉本結)

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『愛がなんだ』
テアトル新宿ほか全国公開中!

監督:今泉力哉
原作:角田光代「愛がなんだ」(角川文庫刊)
出演:岸井ゆきの、成田凌、深川麻衣、若葉竜也、片岡礼子、筒井真理子/江口のりこ
配給:エレファントハウス

2019/日本映画/123分
公式サイト:http://aigananda.com
(C)2019映画『愛がなんだ』製作委員会

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