もやもやレビュー

誰がいつ遭遇してもおかしくないテロの恐怖『15時17分、パリ行き』

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 『アメリカン・スナイパー』や『J・エドガー』など様々な傑作を生み出してきた名匠クリント・イーストウッド。彼が監督を務め2018年に公開された『15時17分、パリ行き』は、映画ファンたちにいろんな意味で衝撃を与えました。まず、2015年にヨーロッパで起こった無差別テロ事件を題材にしている点、そして、なんと事件の当事者本人を俳優として起用するという、これまた大胆で度肝を抜かれる手法で撮影されているんです。

 2015年8月21日、アムステルダム発パリ行きの高速鉄道タリスに乗り込んだのは、ヨーロッパ旅行を楽しむ幼馴染、スペンサー・ストーン、アレク・スカラトス、アンソニー・サドラー。しかし、武装したイスラム過激派の男が列車内で無差別テロを企てていたのです。乗客たちが恐怖で凍りつく中、スペンサー、アレク、アンソニーは犯人に立ち向かいます。

 本作は、日常に突如現れたテロの恐怖と、スペンサーたちの生い立ちを混じり合わせながらストーリーが進んでいきます。サバゲーが好きでオタクだった少年時代、厳しい日々を乗り越える軍隊の時代などたどりながら、彼らがどのように "運命の列車"に乗り合わせたのかを合わせて観ることができます。それはどこにでもあるような日常。そう、本作は、彼らの伝記であると同時に、誰もがテロに巻き込まれる可能性があるという事実を包み隠さずに伝えている作品。もう背筋が凍りつきます。そのなかでも彼らの"青春"を感じることができるのは、まさにクリント・イーストウッドマジックと言えるでしょう。なんとも不思議な一本です。

(文/トキエス)

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