もやもやレビュー

透明人間あらわる、あらわる『エンジェル、見えない恋人』

『エンジェル、見えない恋人』 10月13日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開

人を好きになる時、相手のどんなところを最初に好きになりますか?
その答えは千差万別だろう。最初はルックスであったり、話し方、性格や身体のパーツをあげる人もいる。共に時間を過ごしていくうちに一緒にいる居心地の良さをあげる人も多くいる。

母親以外の誰にも自分の存在が気付かれず生活していた姿の見えない少年エンジェル。ある日エンジェルは窓から見える屋敷に住む女の子のことが気になりはじめる。こっそり屋敷に近づくエンジェルに話しかけてきたのは盲目の女の子マドレーヌ。エンジェルは自分の存在に気がついてくれたマドレーヌに惹かれていく。ある日マドレーヌは目の手術をすることを決意する。自分の姿が見えないことをマドレーヌにカミングアウトすることに躊躇するエンジェル。この二人の恋の行方は...。

angel_sub1.jpg


エンジェルの投げかける愛の言葉はロマンチックでとても素敵なのが印象的。二人の世界には都会で感じる雑音はない。綺麗な緑に囲まれた湖畔で静かにはぐくまれる、恋から愛へと変化してゆく感情が、ゆっくりと流れる時間とともにとても丁寧に描かれている。

マドレーヌは幼少期、10代、年頃の女性と3人の役者が演じているが、びっくりするくらい違和感がなく、青い瞳と赤い髪の毛のマドレーヌはまるで同一人物の成長の過程をみているかのよう。
そして、相手役(エンジェル)が実際はいない中で、そこにエンジェルがいるかのように演じきった女優のパワーは素晴らしい!
映画をみた時、確かにそこにエンジェルは存在していた。そして大人になって少し汚れてしまった心を浄化してもらえたような気持ちになれた。
世界のどこかで本当にこんな恋愛があったら素敵だな。そんなロマンチックなラブストーリーに、ありがとうといいたい。

(文/杉本結)

***

angel_sub2.jpg

『エンジェル、見えない恋人』
10月13日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開

監督・共同脚本:ハリー・クレフェン
出演:フルール・ジフリエ、エリナ・レーヴェンソン、マヤ・ドリー、ハンナ・ブードロー
配給:アルバトロス・フィルム

原題:Mon Ange
2016/ベルギー/79分
公式サイト:http://angel-mienai.com
©2016 Mon Ange, All Rights Reserved.

« 前の記事「もやもやレビュー」記事一覧次の記事 »

BOOKSTAND

BOOK STANDプレミアム