CGを遥かに超えた!役者が演じる猿に言葉を失う。『猿の惑星:新世紀(ライジング)』
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- アンディ・サーキス,ジェイソン・クラーク,ゲイリー・オールドマン,ケリー・ラッセル,マット・リーヴス
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不朽の名作SF『猿の惑星』を新しく描いた新シリーズの二作目『猿の惑星:新世紀(ライジング)』を改めて手に取ってみました。というのも、昨年公開された同シリーズの完結編『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』を映画館で鑑賞し、また一からシリーズを見直す意欲が止まらなかったから。同シリーズに登場する猿たちは、まるで本物の猿たちが演技をしているよう。視覚効果は抜群で『キング・コング』や『アバター』に続き、映画の新しい時代がやってきた! と思わせてくれた作品なんです。
舞台はウィルスによって約90パーセントの人類が滅びてしまった2020年代。シーザー(アンディ・サーキス)率いる猿たちは、やっと自分たちの安定した住処をつくり上げることに成功していました。ある日、シーザーたちの住処に人間のマルコムたちが迷い込みます。彼らは、自分たちの居住地域の電力があとわずかで、水力発電施設を稼働させたいという目的がありました。かつて、人間との絆を持つことができたシーザーは、短い時間ですが人間たちに時間を与え、武器を持ち込まないことを条件に発電施設での作業することを承諾。しかし、人間に研究の実験台にされた経験のあるコバは、シーザーの決断に嫌悪感を抱きます。その嫌悪感はいつしか恨みに変わり、コバの中で「人間を絶滅させたい」という思いが芽生えます。
数少ない人間たちが必死に生きようとする感動的なシーンのほか、シーザーとマルコムの絆、コバの復讐心、「猿は所詮アニマルだ」という人間たちの卑しむ汚い心情など、本作には、さまざまな感情が詰め込まれています。これほど喜怒哀楽で感情が忙しくなる作品も珍しい。感情という繊細な表現が求められるものが主軸になっているからこそ、もし、本作の主役である猿が着ぐるみだったり、わかりやすいCGであったら、本作に対する興奮は少なからず削がれていたのではないかと思います。だからこそ、生身の人間が猿を演じ、モーションキャプチャーを駆使するという方法で本作が作り上げられたことに、感謝と尊敬しかありません!
シーザーを演じたアンディ・サーキスを始め、本作で猿を演じた俳優たちは、細かい仕草や、感情が目で見てわかるような演技を見事にこなし、猿たちに命を吹き込みました。さらに製作者たちはCGやVFXによりリアルな毛並みや皮膚の質感を再現。こんな最高なクリエイターたちによって完成された本作は、シンプルに楽しむだけではもったいない! サルワクファンだけではなく、将来映画業界で働きたいと思っている人にもぜひチェックしてもらいたい一作です。
(文/トキエス)