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B級映画の新しい古典?『シャークネード』

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 映画は娯楽のはずなのに、結構な割合でクソ映画を引いてしまう。地方在住者にとって映画館まで片道1時間かけて駄作を2時間も観たらその日はもう暗黒。多様な娯楽が溢れる時代に地雷を踏んだら虚しさは倍増である。
 その点、B級映画の観賞に絞れば精神的なダメージは少なくて済む。駄作だったとしてもB級映画にいちゃもんを付けるのは愚の骨頂だし、面白かったら儲けもの。スクリーンで観ようなんて代物でもないのでネット配信やレンタルで事足りるというのもありがたい。駄作を浴び過ぎて消極的な気分に陥っている時に偶然引っ掛かったのが本作だった。

 あらすじを紹介しようかと思ったが約1時間半にわたり竜巻に乗った2万匹のサメが人を襲うだけというストーリー。冒頭ではフカヒレ目当てに虐殺される場面が描かれている。当初は「サメが復讐する物語なのだろうか?」と思ったが、そういう因果さえ本作には存在しない。元々、竜巻に巻き上げられた存在だし、サメ。
 巻き上げられたサメたちは人を次々に襲う一方、地面に叩きつけられてポンポンと死んでいく。パニックホラーで多くの人が死ぬのはよくあることだが、襲う側も無為に死んでいくというのは珍妙だ。
 伏線とか何とか、そういう気の利いた代物は一切皆無。ついでにサメがエラ呼吸する魚だという当然の現実さえ無視! ここまで荒唐無稽だといっそ清々しい。

 サメや人が雑な描写で死んでいく様をボンヤリと眺めて「この映画はどうやってオチをつけるのだろうか?」という疑問が湧いてきた。そのまま視聴を続けていたら竜巻を消滅させるためヘリコプターから爆弾を投下して消滅させるという方向に。色々な物理法則を蹂躙し3本の竜巻のうち2本を消滅させることに成功。しかし、残り1本を消そうとする際にヘリにサメが噛みついて墜落。ラストはニトログリセリンを搭載した車を特攻させて無事解決となる。ちなみに、最後の竜巻を消した後に巻き上げられていたホオジロザメの口の中に主人公が突っ込みチェーンソーで切り裂くという無意味なシーンが挿入されている。徹頭徹尾、意味も必然性もないまま終わる。

 こんな映画、誰が好き好んで観るのだろうかとネットで検索したところ既に5作も存在している模様。あらすじを読む限り、どれも中身は一緒のようだ。延々と同じテーマで同じ内容を描いて支持を集めるって、もうこれは新しい古典になりつつあるのだろうか。考え過ぎだと思いたい。
(文/畑中雄也)

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