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架空のスポーツを実写化するのはやめましょう『ローラーボール』

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 評価の定まった過去の名作は視聴前に評論され尽くされている。そのためどれだけ先入観を排して鑑賞しようとも無意識にその作品の観方は方向づけられてしまう。良くも悪くも感想がどこかで聞いたような内容になってしまうので、駄作として名高い本作を敢えてチョイス。酷い内容だと伝え聞いているが、好んで2時間超を無駄にしただけでは飽き足らずクソ映画についてあれこれ語る傾奇者は滅多にいない。

 舞台は2018年。6つの世界的大企業が世界を管理し戦争から犯罪まで全ての悪は消え去った。平和ながら刺激のない社会で人々が熱中するのはローラースケートとバイクで円形トラックを回りながら鉄球を相手ゴールに打ち込む「ローラーボール」だった。主人公で同ゲームの花形プレイヤーのジョナサン・Eは、彼の影響力や人気が政治的な意味を持ち始めたことを危惧したオーナー企業の社長バーソロミューから引退を迫られる。
 あらすじ自体は原作がウィリアム・ハリソンの短編なのでストーリーに問題はない。本作が歴史に名を刻むほど駄作として知られるのは競技シーンである。ローラーボールは架空のスポーツなのにも関わらず、迫力を出そうとカットを細切れにしたためにどういうものなのかさっぱり分からない。1975年公開の作品なのでCGなんて洒落たものがないため役者の動きは緩慢だ。こんなプレーに熱狂できるというなら2018年の大衆は阿呆か何かだろう。こんなテイストで殺人ゲームを行っていると言われても白けるだけだ。
 星の数ほど存在する映画の大半は評価にさらされることなく消えて行くというのに、わざわざ駄作として名を残すのも納得の酷さ。一つ違和感を覚えたら近未来モノの作品なんてリアリティがないゆえ根本から瓦解してしまう。ディストピア風の演出が悲しいほど滑稽に映る。

 ちなみに本作は2002年にリメイクされているが、こちらも酷評の嵐。舞台設定を変更してあるけれど、競技シーンの問題を解決するには至らず同じ問題に直面している。
 名作のリメイクなら興行成績が悪かったとしても上映した理由に納得できるが駄作をリメイクして駄作を再生産するとは誰が得をするのだろう。
(文/畑中雄也)

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