もやもやレビュー

制作陣にやる気があるのかないのか『ゾンビシャーク 感染鮫』

ゾンビシャーク 感染鮫 [DVD]
『ゾンビシャーク 感染鮫 [DVD]』
松竹
商品を購入する
>> Amazon.co.jp
>> HMV&BOOKS

 下手に金がかかって何もかもが中途半端な映画を観るより、露骨にB級感を出している映画でも観た方が精神衛生上よろしいのではないかと思い付き「サメ」「ゾンビ」とB級ホラーの鉄板アイコンをタイトルにした本作を視聴した。

 タイトルから明らかなように、ゾンビ化したサメが人々を食い殺しゾンビにしていくという内容。これで本作の9割5分は説明したも同然だが、一生鑑賞することのない人々のために見どころというかツッコミどころを解説したい。
 冒頭で既にB級映画と述べているのでストーリーが極端にご都合主義に進むというのは仕方がない。しかし、サメがぬいぐるみである。パニックホラーの体を取っているのに怖がらせようという意思さえ放棄している模様。ついでにゾンビ化した人間は「具合悪そう」という程度のメイクで済ませている。二日酔いに悶える人々がウロウロしているだけのようにしか見えない。それが人々に襲い掛かりサメに食われる。ネットで公開されている不穏な雰囲気は詐欺じゃないだろうかと思わずにはいられない。もっとも、タイトルが冗談みたいなものなのだから文句を言うのはお門違いかも知れないが。

 一応ゾンビ鮫が生まれた理由を説明すると、軍の治療施設で行っていた回復不能な兵士らの肉体を再生する実験で誤って生まれたという設定。「サメと人間って遺伝子が違うじゃん」と中学生でも分かる疑問が脳裏をよぎるが作中では遺伝子が似ているサメということになっている。人間の治療実験に魚で対応できたらモルモット要らないんじゃないかしら。余談だが、サメもゾンビも脳を破壊されると死ぬ。
 ちなみに、ホラー映画の常道らしくチャラチャラした連中は無様に死んでいく。特に、浜に打ち上げられたサメと一緒に自撮りしてSNSにあげようとしたアンちゃんが頭からガブリと噛まれてくたばる様は今様である。調子に乗ったバカが惨殺される様が爽快であることはホラー映画のお約束だ。

 終盤までさんざん笑ってきたものの、ゾンビ鮫に丸呑みされた主人公の妹がゾンビとなり襲い掛かる。主人公はやむなくナイフで妹の頭を刺すが妹の手にはワクチン入りのビン。バカ映画のくせに後味悪すぎである。視聴者をどうしたいのか、制作陣にやる気があるのかないのか皆目分からない作品だった。

(文/畑中雄也)

« 前の記事「もやもやレビュー」記事一覧次の記事 »

BOOK STANDプレミアム