もやもやレビュー

豪華俳優陣を使ったクソ映画あるある『極道大戦争』

極道大戦争
『極道大戦争』
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 好きなジャンルの映画や評価の定まった名作ばかり観ていては知らぬ間に評論家気取りのいけ好かない映画マニアになってしまいそうなので、適当にサイコロを振ってレンタルショップの棚から映画を引き出している。近所の店のセレクトがアレなのかサイの目が悪すぎるのか、今のところ人様に進んで語れるような代物には出会っていない。
 そんなノリで選んで引き当てたのが本作だった。こんな映画いつ上映していたのか調べたところ、とんでもない早さで上映が終了していたようだ。シネコンなのに。

 主人公の影山(市原隼人)は伝説のヤクザとして名を馳せた神浦(リリー・フランキー)に憧れるも、うだつの上がらない日々を送っていた。ある日、不死身とも呼ばれた神浦は刺客に襲われ八つ裂きにされてしまう。その現場に居合わせた影山は神浦の生首に噛みつかれヤクザヴァンパイアになってしまう―。何を言っているか分からない。あらすじを説明しようにも筋がないに等しいので、どうにもならない。ちなみにヤクザの血は激マズでカタギの血は非常に美味らしい。そのため、影山はサラリーマンから女子高生、果ては小学生まで襲い掛かり次々とカタギをヤクザ化させていく。ヤクザって、何だっけ?
 一つも得心いかないまま視聴を続けていたら、巨大化した影山とカエルが殺し合いをしていた。オチがつかないので心が妙にモヤモヤする。アクションシーンなどでドバドバと血が流れる様子を観ても爽快感は欠片も訪れない。

 視聴者無視の暴走にしか見えないが、よくよく観察しているとクソ映画を敢えてトレースしているようにも思える。これでもかというほど無意味な設定を作りこむ一方、物語に関する部分は徹底的に説明を飛ばしている。壮大な「クソ映画あるある」として制作したのではないかとさえ考えられる。山のようなクソ映画を延々と視聴していたせいでそんなことを思いつくのだから、面白さを見出せる人間はもっと楽しい映画を選んだ方がいい。

 三池崇史監督のファンならにこやかに楽しめる作品だろうと理解できるものの、初見でこれを観て他の作品を視聴しようとなるだろうか。訓練されたドMくらいしかそんな了見は起こすまい。
(文/畑中雄也)

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