もやもやレビュー

しがらみも悪くない『マイレージ、マイライフ』

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 「ミニマリスト」という言葉を聞いたことがありますか? 持ち物を必要最低限まで減らし、物に縛られない生き方を目指す人たちのことだそう。本作を観ていてこの言葉が浮かびました。

 年間322日も出張するライアン(ジョージ・クルーニー)の仕事は企業のリストラ対象者に解雇を宣告すること。「バックパックに入らない人生の荷物は背負わない」をモットーとする彼は、夢の1000万マイル達成を目前にし、しがらみのない自由な生き方を楽しんでいました。

 そんなライアンに転機が訪れます。彼と同じく出張族のアレックスと出会い、気軽な大人の関係とお互い割り切った情事が始まります。また、新入社員のナタリーはネット上で解雇通告を行い、出張を廃止するという案を会社に提出しており、真逆の考えのライアンが彼女の研修役を任されます。さらに、妹の結婚式に出席するなど、希薄だった家族との関係にも変化が。
 これらをきっかけに、ライアンは人とのつながりの大切さを考え始めるのです。

 しがらみのない生活や物の少ないシンプルな生活は憧れます。人に振り回されたり感情的にならずに済んだり、身軽だし、わずらわしいことから無縁そうでなにか楽そうに思えます。

だけど、それってすごく寂しいことなのかもしれません。例えば誕生日のお祝いに誰かにあげるプレゼントを選んだり、出産を控えた友人を励ます時間を作ったり、仕事に奔走する家族をねぎらったり、老いた親を心配したり。人生のしがらみの中で見つける幸せや誰かのために費やす時間は、実はとても素敵なことなんじゃないでしょうか。

物を捨てられないのも、それが大切で、思い入れを持っているから。殺伐とした家より、散らかっていても物やそこここに愛情の感じられる家って、他人の家でもどこか落ち着くものです。

というわけで、何事もバランスが大事だと思わされた本作。もしかしたら、流行りのミニマリストもそこそこ具合がちょうど良いのかも?なんて思った次第です。あしからず。

(文/森山梓)

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