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東京国際映画祭観客賞受賞作!『勝手にふるえてろ』

『勝手にふるえてろ』12月23日(土・祝)公開!

この映画の原作は当時17歳という若さで『インストール』を執筆し第38回文藝賞を最年少受賞したことで話題となった綿矢りさ。その後も大学在学中に『蹴りたい背中』で第130回芥川龍之介賞を最年少で受賞し話題となる。
発売されるたびに話題となる彼女の新作。2010年に執筆された『勝手にふるえてろ』の独特な世界観。
原作をよんでからどんな風に映像化されるのだろうと、とても楽しみにしていた。

主演は現在TVドラマやCMで大活躍中の松岡茉優。
近年では原作漫画のファンも多い『ちはやふる』でクイーンと呼ばれる若宮役を原作ファンも大満足の凜とした演技で驚かせた。本当に漫画のイメージそのままの若宮さんがスクリーンにいたのは記憶に新しい。

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主演の松岡茉優さんと渡辺大知さん

そんな松岡茉優が初主演映画として抜擢された本作。監督とのタッグは3作目で息もぴったり。原作者の持ち味でもある毒舌たっぷりのリアル女子を主人公に登場人物一人一人のキャラクターの濃さがひとつの見所にもなる。
濃いキャラがひとり作品を盛り上げるアクセントみたいに登場する映画が多い中で、この作品にはまだいるのか!まだいるのか!というほど次々と強烈なキャラクターがあっちにもこっちにも現れる。
最初はとまどうものの、いつのまにか少しずつキャラクターの魅力に引き込まれて笑っている自分がいるだろう。
そうやってただの映画の登場人物の紹介の時間さえもかなり楽しい時間となる。

ごくごく普通のOLヨシカ(松岡茉優)が会社へ行って、コンビニへ行き、隣人に会ったり、散歩したりという日常が何度も繰り返される。
これだけではただのOLの日常だが、これは恋愛映画!
学生時代から思いを寄せる「イチ(北村匠海)」と自分に想いを寄せてくれている「二(渡辺大知)」という二人の男性の間で揺れ動く女性の恋心を見事に描いている。

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北村匠海さん&松岡さん

作品の大きな切り替え部分は、思い切った演出が見ていてとても楽しい。
理想と現実なんてとっくにわかってる。
ちょっぴりビターな大人の恋への第一歩を踏み出すヨシカ。
デートで行くにも友達同士で行くにもひとりで楽しむにもオススメできる。それくらいだれもが映画館からの帰り道にすっきりとする作品だ。

(文/杉本結)

***

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『勝手にふるえてろ』
12月23日(土・祝)より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル池袋ほか全国ロードショー

監督:大九明子
出演:松岡茉優、渡辺大知、石橋杏奈、北村匠海、趣里 ほか
原作:綿矢りさ『勝手にふるえてろ』(文春文庫刊)
配給:ファントム・フィルム

2017/日本映画/117分
公式サイト:http://furuetero-movie.com
©2017映画「勝手にふるえてろ」製作委員会

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