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慈善活動の意味がわかった気がする。『100歳の少年と12通の手紙』

100歳の少年と12通の手紙(字幕版)
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 「慈善活動」といえば、UNHCRの親善大使として活動しているアンジェリーナ・ジョリーや、トイレ・ストライキが話題になったマッド・デイモンなどのイメージが強く、「裕福な人じゃないとできない」と思ってしまいがちですが、そもそも「慈善活動」ってなんなんだろう? お金がないとできないの? など疑問が頭の中に定着。今回は、そんな疑問を一掃してくれた作品をご紹介したいと思います。それは『100歳の少年と12通の手紙』。主人公は10歳で白血病と闘う少年で、本作のキーパーソンは口が悪く気が強い、そして「慈善活動が嫌い」と公言している女性なんです。

 好奇心旺盛な少年オスカーは、白血病のため小児病棟に入院中。いたずらをしたり人を笑かすのが好きだけど、自分が重度の病気のため、周囲は気を使って怒ろうとも笑おうともしない。そんな大人の行動に疑問を持っていました。ある日、オスカーは自分の両親が病棟を訪れていることを知り、こっそり探しに行きます。そこでオスカーの治療がうまくいかず、もう先が長くないことを知らされ落胆している両親を目撃。病気を告げることもオスカーに会うことも拒否した両親に、彼はショックを受けます。そのことがきっかけで心を閉ざし、誰とも口を聞こうとしませんでした。そんなある日、彼は宅配ピザのオーナー、ローズと廊下でぶつかります。ローズの使う汚い言葉や迫力に圧倒されたオスカーは彼女を気に入ります。ローズにだけは口をきくことを知った院長は、オスカーと毎日話をしてほしいと彼女に依頼。病院も慈善も嫌いなローズは拒否しますが、毎日ピザを注文することを条件に、依頼を受けることに。

 ローズはオスカーの素朴な疑問にユニークに回答します。自分は元プロレスラーだと言い、オスカーに昔話を伝え、そしてオスカーはその話を基に空想を楽しみます。また、オスカーが自身の余命が長くないことを知ると、ローズはすぐさま1日を10年として考えることを提案。こうしてオスカーは、人生を楽しもうと少し前を向き始めるのです。

 そんな彼女からとっさに出るユニークな回答や提案は、真似できそうにありませんが、話を聞いてあげる、時間を少しでも費やすということは真似できそう。お金ではなく、こうやって自分の少しの時間を費やすことも「慈善活動」に含まれるのだと実感しました。お金では買えない、かけがえのない絆みたいなものが、オスカーとローズの間に徐々に生まれていくのもわかります。そしてローズ自身も、オスカーと過ごすことで「慈善なんてもってのほか」という考えが変わっていくのです。息子からも「あれ、慈善嫌いって言ってたよね?」と言われるほど。

 慈善活動って身近じゃないイメージがありますが、本作を観ればきっと少しは身近に感じられるハズ。悲しくも美しい本作はハンカチ必須です!

(文/トキエス)

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