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ドローンがすでに戦争で使用されているという真実。『ドローン・オブ・ウォー』

映画『ドローン・オブ・ウォー』は、10月1日(木)公開です!

 私たちが平和に暮らしている中、世界のどこかでは今日も戦争が繰り広げられている......。目を背けてはいけない現実をリアルに世間に伝え「戦争とは何か?」を考えさせてくれる作品がたくさんある中、最近では『アメリカン・スナイパー』など、戦地で任務終了後に心の病"PTSD"(心的外傷後ストレス障害)にかかってしまう兵隊が登場する映画も多くなった。10月1日(木)に公開される『ドローン・オブ・ウォー』は、昨今メディアを賑わせている無線操作で飛行する"ドローン"を操縦する兵士の実話を題材にしたストーリーだ。

 F-16戦闘機のパイロットから、無人戦闘機の操縦士に転身し、政府のテロリスト掃討作戦に貢献してきたトミー・イーガン少佐(イーサン・ホーク)は、とてつもない違和感に襲われていた。快適なオペレーションルームで、まるでゲームのようにクリックひとつで爆撃し何人もの命を奪い、一日の任務が終わればラスベガス郊外のマイホームへ帰り、子どもや愛する妻と平和な生活を送る。しかし、一日のうちに非日常と日常を行き来するトミーは"PTSD"に悩まされるようになる。

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ゲーム感覚で人を殺していくという恐ろしい現実。それがフィクションの世界のできごとではないというのだから......。

 かつて有人戦闘機F-16に乗り200回以上の出撃を経験したトミーは、現在のドローンの任務が次第に辛くなっていき異動を願うが、トミーのドローン操縦の腕前を高く評価した上官はなかなか受け入れてくれない。そんなストレスからいつしかアルコール依存症になり、夫婦仲も冷めきってしまう。妻の浮気を疑い、情熱的に愛し合えないのは自分がパイロットではなくなってしまったからではないか?と思うようになる。トミーがPTSDにかかることですべてが悪い方向へ進んでいってしまう。

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監督は、『ガタカ』のアンドリュー・ニコル。

 最近耳にすることが多くなった"ドローン"は、災害発生地での現状調査や荷物の配送、動画撮影など多様な用途で、近い将来、莫大な経済効果をもたらすのでは?と言われている一方で、首相官邸屋上での落下事件や、ドローンを人ごみで飛ばした少年が何度も警察に連行されるなど、近い将来、ドローンを利用した犯罪が起きるのでは?と世間に恐怖も与えている。

 そんな無人機"ドローン"が、近い将来どころではなく"すでに"アメリカでは戦争で使われているという恐ろしい真実を、本作は教えてくれる。

(文/アヤカ)


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『ドローン・オブ・ウォー』

10月1日(木)より、TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国ロードショー

監督・脚本:アンドリュー・ニコル
出演:イーサン・ホーク、ブルース・グリーンウッド、ゾーイ・クラヴィッツ、ジャニュアリー・ジョーンズほか
配給:ブロードメディア・スタジオ

原題:『GOOD KILL』
2014/アメリカ/104分

公式サイト:http://www.drone-of-war.com
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