ハエが主人公のインド映画『マッキー』は、ハエのデザインも素晴らしい!
いまだロングランが続いている『きっと、うまくいく』で、40歳超えてるのに大学生役を演じたランチョーことアーミル・カーンに恋しちゃった皆さん! 今度はハエに胸キュンしちゃってください!!
ハエと人間のロマンスと、復讐を描いたインド映画『マッキー』が、間もなく公開。父親が15年前に軽いノリで言った「ハエが人間に復讐する話はどうだ」が、ずーっと頭から離れなかったという監督が、3億ルピー(約6億円)もの製作費をかけて作り上げた映画です。このバカバカしさ! 最高に熱いぜ!
向かいの家に住む超美人・ビンドゥに、2年も片想いを続けるお調子者の貧乏青年ジャニ。どんなにアピールしてもまったく相手にされないと思いきや、実はビンドゥは単なるツンデレ! 心の奥では密かにジャニに惹かれていたのです。ところが、ようやく互いの想いが通い始めた矢先、ビンドゥを我が物にしたいと目論む金持ちの会社社長・スディープにより、ジャニは惨殺されてしまいます。そして、(インド国民の約8割が信仰するヒンドゥ教の死生観、輪廻転生というよりは)不思議な力によってハエに生まれ変わったジャニは、スディープへの復讐を誓うのです。
ちなみにマッキーはヒンディー語でハエの意味。文字通り、ハエが主役の映画ですが、コミカルでキュートな魅力を持つマッキーは、とてもとてもバランスのいい造型だと思います。惨殺された男がハエとして生まれ変わり、復讐をするという設定はホラーでも通りそうですし、まずもってハエ自体に嫌悪感を持つ人は多いので、一歩間違えば超気持ち悪くなってもおかしくないはずです。でも迎合して下手にキャラ系に走ることもなく、リアルでありながらハエにはない清潔感を備えたハエに。このバランス感はマジですごい。インド映画、ボリウッドのパワーを見せつけられました。余談ですがこのハエのデザイン、半分まで撮り進めたものの納得がいかず、制作途中で全面変更したというこだわりのものだそうです。
今まで見たことのない清潔感のあるハエ。劇場でぜひ観てみてください。もちろん見所は清潔感だけじゃありませんよ。ラブラブ胸キュンとか、半沢直樹バリにネチネチした復讐劇とか、いろいろあります。ちなみに『マッキー』を観るとつい思い出してしまう仮面ライダー(1号)は、ハエではなくバッタがモチーフです。
(文/根本美保子)
『マッキー』
10月26日(土)よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国公開!
監督:S.S.ラージャマウリ
出演:ナーニ、スディープ、サマンサ
2012/インド(ヒンディー語)/125分
公式サイト:http://hae-movie.com