疲れが抜けない40代へ 一流トレーナーがすすめる"無意識の緊張"を解く「脱力スキル」

40代からの脱力トレーニング
『40代からの脱力トレーニング』
中野崇
大和書房
1,760円(税込)
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 「寝ても疲れがとれない」「常に身体のどこかが痛い」、そんな声が増える40代以降。しかし、筋トレやウォーキングを始めようと思っても、仕事・家事・育児に追われる中で継続するのは、なかなか難しいのが現実です。

 そこで、理学療法士でスポーツトレーナーの中野 崇さんが提案するのが、「運動せずに体力をつける」という発想です。中野さんは、プロアスリートたちにも「若い選手は鍛えるトレーニングが中心でも、ベテランになったらリカバリートレーニングを中心に」と伝えているといいます。その鍵となるのが「脱力スキル」。「自分の意志で、適切なタイミングで、適切な部位に、適切な程度で力を抜く」ことができるようになると、身体の芯にある「無意識の緊張」がほどけ、睡眠やストレッチの質が上がり、短時間の休養でも疲労が抜けやすくなるといいます。

 中野さんの著書『40代からの脱力トレーニング~忙しくても体調がいい人の密かな習慣』では、トップアスリート向けのメソッドを一般向けにわかりやすく解説。本書の中盤では、具体的なトレーニングの仕方についても解説。「足部」「腰まわり(骨盤・お腹まわり)」「股関節」「肩まわり」「座りセッティング」の5ステップで、全身を効率よくゆるめる方法が写真付きで紹介されています。

 もしかしたら皆さんの中には、「腰や肩はわかるけど、お腹も緊張するの......?」と疑問に思う人もいるかもしれません。実は、筋肉や内臓の疲労が固さとして現れるのがお腹。お腹が固いと、周囲の筋肉や骨の動きにまで悪影響を与えることがあるそうです。さらに横隔膜がうまく働かず呼吸が浅くなることで、血中の酸素が減って疲れやすくなることも......。お腹を柔らかくほぐし、腹圧を高めることで血流がよくなり、呼吸や姿勢も改善するといいます。実際に私も試してみましたが、「疲労でこんなにお腹がカチカチになっていたんだ!」とビックリ。トレーニング後は身体の緊張がほどけ、お腹周りがじんわり温かくなった気がしました。

 ちなみに、重点的にやるなら足部のトレーニングがよいそうですが、中野さんは「時間にも心にも余裕がないという方は、脱力トレーニングを1つだけ選んでやっていただいても構いません」(本書より)と、「ゆるく続ける習慣」を推奨。これなら忙しい人でも、寝る前やスキマ時間に取り入れやすいですね。

 せわしなく過ぎていく日々の中で、常に「もっと頑張らなくては」と力んでいる私たち。中野さんは「現代人は緊張状態がスタンダードと言っても過言ではなく、身体の緊張や強張りを自覚できない人であふれている」(本書より)といいます。"脱力"という新たなアプローチを取り入れて、疲れにくい体を目指してみてはいかがでしょうか。

[文・鷺ノ宮やよい]

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