『キャリー』を観て、「日本で学校生活を送れて良かった」と思い直した
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最近は新書や雑誌などで大きく取り上げられることも多い「スクールカースト」という用語。この言葉の意味する恐怖と悲劇を描いた作品の代表格とも言えるのが、1976年の名作『キャリー』ではないかと思います。
女子高校生のキャリーは、引っ込み思案の性格とぱっとしない容姿が災いし、クラスメイトの執拗ないじめを受け、辛い学校生活を送る毎日。狂信的なクリスチャンである母親からは過剰とも取れる禁欲的な生活を強いられ、楽しいことなど何一つないかに思われたキャリーに舞い込んだのが、イケてるグループの男子・トミーからのプロムパーティー(卒業前に開催される、前祝いのようなパーティーで、基本はカップルで参加)へのお誘い。からかいの延長だと最初はトミーの誘いを断るキャリーでしたが、結局トミーの熱意に押されてパーティーに参加することを決意。手製のドレスも着込み、勇んでパーティに参加するも、その裏に用意されていたのはクラスメイトたちの残酷すぎる仕打ちでした。
日本でも11月8日に『キック・アス』でも話題となったクロエ・グレース・モレッツ主演でリメイク版が公開されるなど、知名度・人気ともに高い本作。有名なラストのキャリーの逆襲シーンもさることながら、個人的に最も恐怖を覚えたのが「プロムパーティー」というイベントのシステムでした。作中にもある通り、基本的に男子から女子を誘い、カップルを作れた人のみが参加できるものであり、男女問わず余り物になってしまってパーティ自体に参加できない子が出てくるそう。日本の学校生活にこんなにも「イケてる/イケてない」の格差が如実に現れる行事があったらと思うと、あぶれる側であったろう自分の姿を想像してしまい、リアルな恐怖を覚えました。あまり日の当たらない高校生活を送りましたが、日本で過ごせただけ良かったのかもしれません。そう思う事にしましょう、いや、そう思うしかないんです。「過去は変えられないが、過去の解釈は変えられる」と、どこかの偉い人も言ってましたし!
(文/伊藤匠)