『現金に体を張れ』を観て、失恋を引きずる危険性を思い知る
- 『現金(ゲンナマ)に体を張れ [DVD]』
- スターリング・ヘイドン,スタンリー・キューブリック
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引きずりますよね、失恋。聞くところによると、男性の方がその傾向が強いそう。女子はきっぱり切り替えて、男子はズルズルと抱え続ける。この違いが起こす悲劇を、まざまざと見せてくれるのが、鬼才スタンリー・キューブリック監督の『現金に体を張れ』です。
5年の刑期を終えて出所したジョニーを首謀者として、集まった5人の男。借金に首が回らない警官のランディをはじめ、大金を求める彼らが企てたのは、競馬場から売上を強奪するというプラン。綿密に織り上げられ、一見完璧に見えた計画ですが、あることがきっかけで歯車が狂い始めます。それは、メンバーの1人であるジョージの、妻との冷え切った関係性です。
口を滑らせ、計画の一端を妻にバラしてしまったジョージ。話しかけられても目を合わさないほどジョージに興味を失っている妻は、不倫相手にその計画を話し、強奪金を横取りしようと策を練ります。
この一連の流れ、そもそもジョージが妻にほとほと飽きられていることを、見て見ぬ振りをしたのが原因。一方的に未練を持ってしまったことが、計画を破綻させる一因となったわけです。
確かに、一度好きになってしまった相手をすっぱり忘れるのは難しいことです。でも関心を示してくれない子にいくらアタックしようと、プラスに転じにくいのは本作が示すとおり。ジョージを反面教師に、恋愛においてはサッカースペイン代表なみの「切り替えの早さ」を目指すのも一つの手ではないかと思いました。