もやもやレビュー

健気なこどもゴコロに胸キュン。『エヴァとステファンとすてきな家族』

エヴァとステファンとすてきな家族 [DVD]
『エヴァとステファンとすてきな家族 [DVD]』
エンマ・サミュエルソン,サム・ケッセル,リーサ・リンドグレン,ミカエル・ニュークヴィスト,イェシカ・リードベリィ,ルーカス・ムーディソン,ルーカス・ムーディソン,エンマ・サミュエルソン
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 パッケージとタイトルに惹かれて『エヴァとステファンとすてきな家族』を観ました。想像を100%裏切られました。

 舞台は1970年代のスウェーデン。パパと喧嘩をしたママが、ステファン(10歳)とエヴァ(13歳)を連れて家出した先は、ちょっと変わった叔父さんの家。でもそこは普通の家じゃなく、様々な価値観、年齢、性別の人が共同生活を送るコミューンで......。

 メンバーは超超個性的。レズビアンの女性と元夫、そして2人の間にできた子ども。さらにその元夫を狙っているゲイ。叔父のヨーランもまた、同棲中の彼女が他のイケメン(政治にしか興味がない)に肉体関係を迫るのを公認するなど、自由な考え方の持ち主です。※モザイクがかかるようなキワドイシーンも多数...。

 変わった人たちと突然一緒に暮らすことになったエヴァとステファン、やっぱりなかなか馴染めません。父親を頼ったり、母親に泣きついてみたり、車に閉じこもってみたり。かわいそうに思う一方で、特に弟のステファン君のすれていない可愛さには何度もキュンとさせられます。

 例えば、プレゼントを買う約束をしたくせに、財布を忘れるだらしのないパパ。エヴァは愛想を尽かして帰ってしまいますが、ステファン君は健気に待ち続けます。また、エヴァに邪険に扱われながらも、エヴァがピンチの時には彼女を必死で守ろうとしたり。さらに、やり直しを請いに来るもあえなく追い返されるパパに、声をかけに行くフォローまで。その甲斐あって父ラルフも夫婦で話をするチャンスを無事ゲット! と、とにかくできすぎた子なんです!

 子どもの頃は、誰もが持っていたはずの健気さと純真さ。でも世の中の色々なものに揉まれる中で、いつのまにか失ってしまいます。ステファンは、自分の気持ちに正直でまっすぐ。そういう純真さに触れるとなぜだか胸の奥までズキュンと響くのは、なくしてしまったものを思い知らされて寂しくなるからなのかも。純真になりたいです。というか子どもが欲しいです。少子化を止められるのは、きっと映画に違いありません。

(文/森山梓)

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