もやもやレビュー

『サンシャイン・クリーニング』を観て思った、自分を救ってくれる物。

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 皆さまごきげんよう。
 シングルマザーの姉ローラと、フリーターで父の家に居候中の妹ノラの姉妹を描いた『サンシャイン・クリーニング』を観ました。

 ローラの息子は学校で「問題児」とみなされ、彼女は事あるごとに教師に呼び出されます。ボーイフレンドに相談しようにもバッチリ妻子がいるし、女友だちは皆自分と違って幸せな家庭を築いておりみっともないところは見せられない。そんな彼女が自分を落ち着ける方法は、鏡に向かって「あなたは強い」と言い聞かせること。本当は全部投げ出したいのを何とか抑えて一人、涙ながらに鏡に微笑んでみせるのです。

 落ち着いて自分の感情と向き合う余裕なんてなくて、どうにかなだめすかして日常を送らないと、子どももいる、仕事もある、すべてを分かち合えるパートナーがいる訳でもない、全部自分がやらないと...。もう、超リアル。

 ノラはノラで幼少時の辛い体験に捉われていて、耐えられなくなると陸橋によじ登り、轟音を響かせて疾走する電車すれすれのところで叫んで、すべてを振り切ろうとします。

 子どもを産み育てるという女性元来の生き方に加え、社会に出てお金を稼いでくるという男性元来の生き方を両立する現代女性は、どんなに男性に怖がられようと強くならなければ生きられません。とはいえ、当然泣きたい時もある。だからローラやノラのように感情と折り合いをつけるオリジナルのワザを女性は皆、体得しているのかもしれません。友だちや彼と飲むのももちろん有効ですが、社会人になると皆すぐに時間を合わせられないことも。付き合ってくれる相手がいなくても一人でできるワザをいくつか確保しておくのが肝要です。

 ちなみにローラとノラは自己流のワザに加え、仕事と家族、周りの人に救われます。男性なんて肝心な時に頼りにならないわ、というメッセージが暗に込められているのかも知れません。

(文/小野好美)

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