もやもやレビュー

映画『リンダリンダリンダ』は、文化祭前夜の高揚感を疑似体験できる映画だと思った。

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 ほぼ友達がいないみなさま、高校のときの文化祭で楽しめた記憶がありますか?たぶんないでしょう。そんな青春の思い出のない人にオススメなのがこの映画。

 文化祭直前で空中分解してしまったガールズバンドのメンバーたちが、留学生のソン(ペ・ドゥナ)をボーカルにスカウトして本番に向けて悪戦苦闘する様子を独特のオフビートなテンポで描ききったのがこの『リンダリンダリンダ』。監督の山下敦弘氏は『リアリズムの宿』や『天然コケッコー』などで有名です。

 映像から溢れ出る、ある種の倦怠感。文化祭という非日常はそんなに長く続かないんだというあきらめをうちに秘めつつも、バンドに打ち込む彼女たち。そんなモラトリアムをうまく表現しています。

 青春がなかったというみなさん、この映画には青春の要素がすべて詰まっています。この映画で追体験するのも良いでしょう。でも同時にこの映画は青春はいつだってできるということを教えてもくれます。だから、あきらめないで! 青春の終わり、それはそう思った瞬間に終わるのです。

(文/神田桂一)

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