もやもやレビュー

『イージー・ライダー』を観て、これは絶対日本に舞台を移して撮ってはいけない映画だと思った。

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 友達がいないと悩んでいるあなた、たまにはスケールのでかいことを考えてみましょう。空を眺めていると、宇宙の広大さに比べれば、なんて自分の悩みはちっぽけなんだと思うはずです。そして、ちっぽけな悩みを忘れさせてくれるスケールのでかい映画と言えば、なんといってもアメリカ映画! もう領土からして広大ですから。今日は悩んでいるすべての人にこの映画を捧げます。

 映画の名はアメリカン・ニュー・シネマの傑作『イージー・ライダー』。あらすじだけ追えば、主演のピーター・フォンダ扮するキャプテン・アメリカとデニス・ホッパー扮するビリーが麻薬のブローカーで大儲けした金を持って、ロスアンゼルスから、南部のニューオリンズまで旅する、ただそれだけなんですが、これがもう、スカッとするんですよ。荒野をバックにフルカスタムのハーレーに乗っての疾走シーンはスケールでけえなあ、の一言。BGMはもちろんステッペン・ウルフの『born to be wild』。友達が・・・とか言ってたら張り倒されますよ!まあ、彼らには彼らの苦悩があり、衝撃のラストがそれを象徴しているのですが、それはまた別の話。

 でもこういう映画は、なんでもスケールのでかいアメリカだから成立するとも思ったり。大ヒットした『イージー・ライダー』の公開は1969年。1969年に日本で大ヒットした邦画は『男はつらいよ』です。渥美清が富士山をバックに東海道をスーパーカブで疾走する映画とか撮られても絶対ヒットしないと思うんですよ。だから監督の方々、日本でスケールのでかい映画を!なんて気にしないで、日本サイズないい映画をたくさん作ってください。スカッとしたい時は、アメリカ映画でします!

(文/神田桂一)

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