敵ながらあっぱれ精神を磨いて世の中をちょっと平和にしよう。『ローラーガールズ・ダイアリー』
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皆さまごきげんよう。シルク・ドゥ・ソレイユのマイケル・ジャクソンの演目を観にいきましたら、とても本当とは思えないことがあちこちで起こっていました。人体ってどうも思ったよりも随分と柔らかいみたいです。
『ローラーガールズ・ダイアリー』は母の勧めでミスコンに出ることが第一優先だった17歳の地味目女子が、ローラースケートでぶつかり合う危険な競技「ローラーゲーム」に夢中になっていくお話です。
主人公は、両親に反対されることを見越して「勉強している」と嘘をついてローラーゲームの練習に励みますが、ある時それが露見。両親は憤怒しますが、お父さんは好奇心から後でこっそり娘が所属するチームのサイトを見てみます。
そこには普段とはちがう、真剣でタフな娘の姿が。そこからお父さんは少しずつ娘を応援し始めます。一方お母さんは、ミスコンへの思いが強いこともあり、なかなか娘が受け入れられません。どちらも娘を大切に思っていることに違いはないのですが、お父さんの方がちょっとおトクと言いましょうか、人生を楽しんでいるように見えます。
立場上、相容れなくて意見が対立してしまうこともある。でもそこでこのお父さんみたいに、主張している意見の下に湧いてきた素直な気持ちに従った方が物事はおもしろくなる可能性が高い。「敵ながらあっぱれ精神」です。
例えば、ニガテな上司に「(この人、面倒だなぁ...でも)部長、5年間、無遅刻無欠勤てすごくないっすか」。ひそかに好きだったあの娘と付き合い始めたイケメンに「(ちっくしょう...でも)○○くんの笑顔、男でもキュンとするわ」。
こんな風に敵ながらステキなところを見つけてそのまま相手に伝えてみたら、不意をつかれて先方も素になってしまうに違いありません。そこで腹を割って話してみれば存外、仲良くなれてしまうかも。この運動が拡がれば、世の中がほんの少し平和になるのではないでしょうか。
(文/小野好美)