モヤモヤの原因「キライ」はなぜ生まれる? 心理士が教える"心がラクになるテクニック"

キライな人がいなくなる方法
『キライな人がいなくなる方法』
堀もとこ
あさ出版
1,540円(税込)
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 学校や職場、ご近所づきあい、友達や家族との関わりのなかで、誰しも一度は特定の相手に対して「キライ」「苦手」「合わない」と感じた経験があるのではないでしょうか。とはいえ、「キライだから全部リセットする」というわけにはいかないのが、人間関係の難しさです。では、キライという感情に振り回されず、ラクに生きるためにはどうすればよいのでしょうか。そのヒントを示してくれるのが、認定心理士で人間力アップコンサルタントの堀もとこさんによる『キライな人がいなくなる方法』です。

 第1章ではまず、"なぜ自分はその人をキライになるのか"というメカニズムが紐解かれます。私たちは、脳の「防衛本能」が働くこと、そして「予想外・価値観のズレ」が生まれることで、「キライ」という感情を抱くといいます。

 また、「この人がこんな態度なのは、私に何か原因があるのではないか」「私、何か気に障ることをしたんだろうか」と、相手の不愛想な態度を自分の責任だと錯覚してしまう場合もあります。しかし覚えておきたいのは、相手の感情や行動は「他人の課題」であり、私自身ではコントロールできないということ。相手を変えようとするのではなく、自分の行動や思考を変えていくことこそが、キライな人に振り回されず穏やかに過ごす第一歩となります。

 第2章からは、そのための具体的な方法が紹介されます。たとえば、自分の思考のクセを変えたいときに役立つのが「思考リセット術」です。これは、以下の4つのステップからなります。

1、まず、自分を見つめる
2、理解する努力をしてみる
3、思い込みを手放す
4、行動に移してみる
(本書より)

 特に「2、理解する努力をしてみる」は難しいと感じる人も多いかもしれませんが、ここで助けになるのが「3つの質問」です。「相手の状況はどうだった?」「相手はどんな目的があったのだろう?」「自分が同じ立場だったらどうするだろう?」と問いかけることで、相手の背景や状況を想像し、その行動の理由を考えてみることで、見えなかったものが見えてくるかもしれないと堀さんは言います。

 ほかにも、心に余裕が生まれる「3つの選択肢」、相手を責めずに自分の気持ちを伝える「アイ・メッセージ」、事実と感情を切り分けるための箇条書きワークなど、本書では多様な方法を通して、キライな人に対する向き合い方や心の整え方が紹介されています。

「キライな感情って、実はすごく『しんどい』。それならいっそのこと、我慢するのをやめて、キライな人を作らない自分になればいいんじゃないか」(本書より)

 この言葉には、ハッとさせられる人も多いのではないでしょうか。本書を読むことで、少しでも人間関係の悩みが軽くなれば、より幸せな人生に近づけるはずです。

[文・鷺ノ宮やよい]

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