1日1組限定150万円の寿司店が世界の富裕層に人気! 美食家が注目する"日本の地方食"

- 『日本人の9割は知らない 世界の富裕層は日本で何を食べているのか? ガストロノミーツーリズム最前線』
- 柏原光太郎
- ダイヤモンド社
- 1,980円(税込)

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近年、インバウンドは急速に増加しています。コロナ前の2019年には訪日外国人旅行者数が約3200万人でしたが、2025年には4500万人を突破するといわれています。彼らは東京や京都といった観光都市を訪れるのが一般的ですが、今、富裕層の間では、その土地でしか味わえないレアな食体験ができる地方の人気が高まっているといいます。
その土地ならではの食を求めて旅をする「ガストロノミーツーリズム」の最前線について、第一人者である柏原光太郎氏が解説する書籍が『日本人の9割は知らない 世界の富裕層は日本で何を食べているのか? ガストロノミーツーリズム最前線』です。
現在の富裕層の中心は、ITや金融などでIPO(株式公開)を果たした起業家たち。彼らは「THE・お金持ち」的な行動には興味を示さず、旅にも「誰も見つけていないものを見つけること」を求めるといいます。そのため、「なんでもそろう東京で作られる料理ではなく、限られた、しかし、その分とんがった食材がある地方で作られる料理が、確実にトレンド」(本書より)になってきていることにも納得がいきます。
「そうした大きなうねりが、日本のガストロノミーツーリズム旋風を巻き起こしている」(本書より)
このような富裕層は、「いかに人と違うオリジナルな体験をするか」において、お金に糸目をつけません。たとえば三重県・伊勢志摩の離島にある寿司店「SUSHI YUTAKA ZEN」のランチは、1日1組限定の完全予約制で150万円。実はこの金額には、東京から離島までのヘリチャーター代140万円が含まれているそうです。それでも年間約70組の世界の富裕層がヘリで訪れるというから驚きです。もちろん、そこまでして訪れたくなる"本物の食"が地方にあることが大前提です。
著者が「私は知っています。地方に、いかに素晴らしい店がたくさんあるか。地方の食材がいかに新鮮か。地方のシェフがどれほどの覚悟で店を構えているかということを」(本書より)と記すように、本書には気概あふれるシェフや生産者のストーリーも多数掲載されています。
人口400人の山奥に年間8000人が訪れるという富山・利賀村の「L'évo」、握った寿司を客の手にゆっくりのせるパフォーマンスで世界的寿司屋へと大躍進した北九州の「照寿司」、ローカルガストロノミーの先駆者として名高い山形・鶴岡「アル・ケッチャーノ」など、富裕層が殺到する地方の名店が詳しく紹介されています。
さらに本書には、「一生一度は行きたい日本のデスティネーションレストラン200軒」のリストや、読者限定特典として「さらに250軒リスト」のダウンロード特典付き。ガストロノミーツーリズムの現状を知れるだけでなく、グルメ好きのためのガイドとしても楽しめる一冊です。
おいしいもので地方が活性化し、さらにおいしいものが生まれる――そんな好循環が末永く続くよう、皆さんも地方の食の豊かさに目を向けてみてはいかがでしょうか。
[文・鷺ノ宮やよい]
