ホラーから人怖を経て泥試合へ『呪いの怨恨 エコーズ・オブ・フィアー』

- 『呪いの怨恨 エコーズ・オブ・フィアー(字幕版)』
- ブライアン・アヴェネット=ブラッドリー,ローレンス・アヴェネット=ブラッドリー,トリスタ・ロビンソン,ハナー・レース,ポール・キリコ,マーシャル・ヒルトン

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邦題が「呪い」と「怨恨」という類似語の掛け合わせなので「力こそパワー」に似たバカっぽい響きがあってあまり期待していなかったのだが、ちゃんと怖かった。
無論そこかしこに粗はありエンドロールを眺めながら「じゃあ、あの時のあの行動は何だったのだ?」という疑問も山積みではあるものの不気味な雰囲気や疑問を丁寧に解決していく様子は黄金期のJホラーを彷彿させる。ジャケットにも「ジャパニーズ・ホラーから影響を受けた海外版【お化け屋敷】ホラー」とあり、決して羊頭狗肉の類ではなく、あの雰囲気が好きなタイプは満足できるかと思われる。
大学生のアリッサは心臓発作で突然死した祖父の一軒家を相続することになるも、固定資産税が高く大学の新学期前に売却すべく彼氏のブランドンと一緒に荷物の整理や修理を施していた。
家の中で奇妙な気配や視線を感じたり配管に髪の毛が大量に詰まっていたりと不気味な体験をしていくことに――という内容。
ここから主人公のアリッサは霊を目撃したり女性が2人組の男に惨殺される幻覚を見たり。そんな現象に興味を示した女友達のステフと祖父の家を探索していく。するとポルターガイスト現象に導かれるままに捜索しているとバラバラになった死体を発見。ほかにも不気味な仮面を見つけ、自身が見た悪夢の中で2人組の男が被っていたものと同一だと気付く。アリッサは幽霊によって再び幻覚を見せられ祖父とその隣人が女性を惨殺した犯人だと知ったところに祖父の隣人のデビッドが侵入。
主人公とステフが拘束されたところに彼氏のブランドンが登場するもデビッドに腹を刺されて即退場。作中での役割がほぼないのだが、この彼氏。
ブランドンを殺害したデビッドはそのままアリッサとステフに襲い掛かるも拘束を解いたアリッサに首を絞められる。電動のこぎりで反撃しようとするデビッドだったがステフが電動のこぎりのプラグを抜かれ使い物にならず。殺人鬼とのバトルでここまで間の抜けたバトルは初めて見たかも知れない。最後はアリッサに絞殺されバトルが終了。助かったアリッサたちは警察に通報してエンドロールへ。
冒頭の通り粗が目立つ作品ではあるが不気味な雰囲気を中盤まで保ちホラー映画らしさはあった。ただ、祖父たちに惨殺された幽霊は不気味極まりないのだが決して主人公らに危害を加えることはせず、真実をアリッサに伝えるのみで隣人には何ら報復した形跡がないのが突っ込みどころか。制作陣は「一番怖いのは人間だ」という方向に持って行きたかったのだろうと察せられる内容ではあったが終盤の泥試合のせいで怖さが薄れてしまうのが残念だった。別の意味では面白かったけども。
(文/畑中雄也)

