メールやSNSで損しない! 編集者が明かす"感じのいい文章術"とは?

なぜ、あの人の文章は感じがいいのか? 編集者が10年かけて見つけた「文章で損しない技術」
『なぜ、あの人の文章は感じがいいのか? 編集者が10年かけて見つけた「文章で損しない技術」』
庄子錬
ダイヤモンド社
1,760円(税込)
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 「今後はAIの時代」と言われても、まだまだ人と人とのコミュニケーションは健在です。なかでも仕事のメールやチャットで、「感じのよい文章が書けない」「すっきりと読みやすい文章が書けない」と悩む人も多いのではないでしょうか。

 そこで紹介したいのが、庄子 錬さんによる書籍『なぜ、あの人の文章は感じがいいのか? 編集者が10年かけて見つけた「文章で損しない技術」』です。数々のベストセラーを手がけてきた編集者である庄子さんが、「好印象」「スピード」「説得力」を得るための文章法則を解説しています。

 庄子さんによると、「気持ちが伝わる文章」「たくさんの人から共感を集める文章」には3つの共通点があります。

1、ムダが少なく、正確で、見やすい。
2、適度に「キョロキョロ」している。
3、いろいろ「察している」。

 本書はこれらを柱に、「感じのいい文章」の本質を明らかにしています。

 上記3点の中で、「キョロキョロ」という表現がピンと来ない人もいるかもしれません。これは「周囲を観察する力」や「素直な謙虚さ」を意味します。庄子さんは「『キョロキョロ力』があると、技芸を習得したり、人間関係を構築したり、トラブルを回避したりするのに大いに役立ちます」(本書より)と解説。

 では文章で「キョロキョロ感」を適度に表すには、どうすればよいのでしょうか。本書では「謙虚さと自信のバランスをとる」「『質問』や『確認』の際に一言入れる」などの策が示されており、メールを書く際のヒントになるでしょう。

 また、ビジネスメールで説得や依頼、反論などを切り出す直前に使う「クッション枕詞」を添えることで、文章の印象が大きく変わります。「お手数をおかけしますが」「もし可能でしたら」などは日常的に使われますが、他にも謝意や謙虚さを表す「門外漢で恐れ入りますが」「ジャストアイデアですが」、相手のメリットを先出しして前を向かせる「〇〇さんがこれだけの実績を出している秘訣を知りたいのですが」「ぜひこれだけはお伝えしたいのですが」など、状況に応じて使える表現が紹介されています。

 文章には数学のような「正解」はありません。しかし、相手に好感や共感を抱かせる「法則」は存在するということが、本書を読むとわかります。庄子さんは「小さな意識の繰り返しであなたの『書く力』は大きく向上し、周りからの評価が変わるはず」(本書より)と記します。ビジネスメールやチャットで損をしないために、本書で紹介されている具体的なコツやフレーズをぜひ取り入れてみてください。

[文・鷺ノ宮やよい]

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