骨格診断やパーソナルカラーだけでは変われない 人気スタイリストが教える「センスの育て方」

- 『コンプレックスを飼いならして「好き」を着こなす センスのトリセツ』
- 安井 百合子
- 高橋書店
- 1,760円(税込)

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ありとあらゆる情報が蔓延する今の時代、ファッションに関する発信もネット上にあふれています。けれど、いわゆる"おしゃれの法則"や"着こなしテクニック"を知るだけで、または自身のパーソナルカラーや骨格診断を取り入れるだけで、真の「センスある人」になることができるのでしょうか。
そもそも、「センス」と聞くと、その人に生まれつき与えられた才能のように感じられますが、実際はそうではないようです。「センスは、すべての人に備わっていて、自分で鍛えることができる」と語るのは、パーソナルスタイリストの安井百合子さん。『コンプレックスを飼いならして「好き」を着こなす センスのトリセツ』は、SNS総フォロワー数22万人を超える支持を集める安井さんが、「自分の感性を後回しにしてきた人が、自分の中に美しい感覚を掘り起こし、自分の『好き』で日常を満たしていくための取扱説明書」として著した書籍です。
本書では、センスというものについて「蓄えた知識に基づく判断力」と定義されています。センスとは、これまでの知識と経験が沈殿してできた「判断の引き出し」であり、関心と知識を重ねて育てていくことで、その先に生まれる「自分らしさ」をベースにした判断力が生まれると安井さんは記しています。
本書にはそうしたセンスを育てるための具体的なアクションや実例も満載です。たとえば、ある物を見て「いいな」と感じても、「なぜいいのか」まで掘り下げるのと、そうでないのとでは、センスの磨かれ方はまったく異なります。そこで安井さんが提案するのが「理由探しの習慣をつける」こと。素敵だと感じたものに対して、「1、どこが魅力的に見えたのか? 2、魅力的に感じた理由は何か? 3、自分にどう応用できるのか?」という3つの問いを立てることをアドバイスしています。
また、プラスサイズの安井さんならではともいえるのが、Chapter3の「隠すを魅せるに変える」かもしれません。「視点を変えれば、ラベルは変わる」「コンプレックスこそ、センスの見せどころ」(本書より)といった言葉は、「3年前に起業するまでは最大値に大きくなった体を隠すように生きていた」という安井さんだからこそ、説得力をもって響きます。
本書を読んで感じるのは、けっきょく「センスある人になるのに近道はない」ということです。センスとは、これまでに見て、感じて、記憶してきたものすべての結晶であり、小手先のテクニックだけを取り入れても、自分らしさは身につかないのだと痛感します。
そしてこれは、ファッションに限った話ではありません。その人の生き方そのものにも通じる話です。自分は何が好きで、どうありたいのか。本書はその選択を自信を持ってできるようになりたい人に、おすすめしたい一冊です。
[文・鷺ノ宮やよい]
