もやもやレビュー

ラストのオチは許せない『アーカイヴ』

アーカイヴ(字幕版)
『アーカイヴ(字幕版)』
ギャヴィン・ロザリー,ギャヴィン・ロザリー,テオ・ジェームズ,ステイシー・マーティン,ローナ・ミトラ,トビー・ジョーンズ
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 手塚治虫は自身の著書で夢オチを悪い4コマ漫画の例に挙げていた。実際に夢オチの作品に接すると真面目に視聴していたら最後に全部夢という時点で読者や視聴者をバカにするようなもので、物語は語った話の中でオチを付けろよと怒りたくもなる。本作はまさに夢オチで最後は主人公が消えて終わりという、投げやりすぎる内容だった。しかも直前までは比較的よく出来ていたので一層腹立たしい。

舞台は2038年の山梨県。主人公のジョージは亡くなった人間の魂を保管し一定の間だけ会話ができるフレームを取り扱う企業で研究者として働いていた。妻のジュリーは事故死したが、妻の魂を人工知能に移し替えるべく日々研究を重ねていた。

 その甲斐あって人口知能を搭載したロボットを開発したが初号機の知能レベルは幼児レベルだった。次に開発した2号機は15歳前後の知能で、そのロボットの助けを借りることでついに一部ではあるが妻の記憶を搭載した3号機を完成させた。ジュリーの魂が入っている3号機ばかりを特別扱いするジョージに2号機は嫉妬を募らせて――という内容。
 この後、本社から保安係がやってきたり謎の男が現れ命を狙う人間がいると警告したりするのだが、夢オチなので伏線ですらない。

 嫉妬に駆られた2号機は3号機に自身が妻の記憶を搭載した存在であると知らされ混乱する。それを知ったジョージは2号機の活動を停止させ2号機の脚を3号機に取りつける。再起動した2号機は絶望のあまり入水自殺し、3号機も妻の魂の器でしかないことを知りジョージに殺意を向ける。献身的なロボットたちに対し主人公があまりに自分勝手なふるまいを続けるためジョージが単なるクズにしか見えない。

 「これで妻の魂を3号機に入れ替えてもハッピーエンドとはならないだろう」と思って視聴を続けると、唐突にジュリーがジョージにもう時間だと語りかけた。するとジョージの記憶がフラッシュバックし、死んだのは妻ではなく自分であることを思い出し、魂の保管期間が過ぎたことでジョージの魂は消滅。エンドロールが流れて終わる。まさかの主人公消滅エンド。投げっぱなしにも限度がある。

 終盤まで面白いと感じないこともなかったが、このオチの時点で評価以前の話だ。それでも口コミサイト等で評価がそこそこ高いのは途中までの完成度はそれなりに高いからだろう。だからこそこのオチはあまりに不誠実だと感じてしまう。

(文/畑中雄也)

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