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"伝説のシューズ"誕生を描く感動のお仕事ムービー 『AIR』

AIR/エア
『AIR/エア』
ベン・アフレック,Alex Convery,マット・デイモン,ベン・アフレック,ヴィオラ・デイヴィス
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ナイキのスニーカーはとにかくダサい、だなんて、今では到底信じられないものだが、映画の舞台である80年代半ばのアメリカはアディダスとコンバースが人気を誇っており、ナイキ社の評価はその程度のものだったという。人気もないし業績も悪い会社の立て直しを命じられたのが、マット・デイモン扮するソニー・ヴァッカロ。彼を含む社員たちが前代未聞のチャレンジに身を投じ、偉業を成し遂げるさまを描く感動の実話がこの作品『AIR』なのである。

競合ブランドたちがシェアを占めるなか、ソニーが目をつけたのは、後に世界的スターとなる選手マイケル・ジョーダン。といってもまだNBAの試合には出たことのない大学生選手で、彼もまたナイキはダサいと思っていそうな雰囲気...。圧倒的に不利な状況にもかかわらず、ソニーは情熱の塊でマイケルに向き合っていく。

チームと一緒にこちらまで心が折れるような気持ちになったり、共感したり。頑張ればなんだってできるというと少々オーバーかもしれないが、壁を壊したり、乗り越えたりすることもできるのかもしれないと自信や勇気を分けてもらえる。なお、マイケルの母デロリス・ジョーダンが影の実力者として最強の手腕を発揮するのだが、それはそれは凄まじくかっこいい。付いていきます、と言いたくなる。

制作・監督を務めているのは、ナイキ社CEOフィル役として出演もしているベン・アフレック。彼が映画作家として関わった『ゴーン・ベイビー・ゴーン』『アルゴ』と、いずれもキャラクターの描き方が人間臭くて魅力的。そんなところが好きなのかもしれない。

(文/峰典子)

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